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「打ち上げ来ればよかったのに」
「自由参加なんだからいいでしょうよ」
「狙ってた子、俺といんのにお前の話してきたんだけど」
少し強めの口調で呟いてみても、特に気にする様子もなさそうに「あら、そうですか」と軽い返事を投げつけられた。
驚くほど関心ゼロな薄い反応に、隣の北斗の顔を思わず二度見しそうになる。
「しかも彼氏持ちよ？」
「あぁ、そう」
「リアクションうっす。つーか…その子も言ってたけど、北斗ってなんで彼女作んねぇの？」
北斗は「うーん、なんだろうな」と少し考え込んでから俯いた。
「…そういうのめんどくさいんだよね。相手の一挙手一投足に一喜一憂しちゃってしんどくなりそうじゃん」
「え？マジかお前。絶世の美女が告白してきたとしても断んの？」
「その美女がどんな子かによる」
「いやいや、よーく考えてみ？自分のことを好きだって言ってくれてんだぞ？」
「だから、中身がわからないと好きにならないって」
「お前男として大事な部分が欠落してるだろ」
「男がみんな樹みたいに欲に忠実だと思わないでくれる？」
俺の発言が余程可笑しいのか、北斗は薄ら笑いを浮かべながらそう呟いた。
「この人が好きって思うから面倒くさくなるっていうかさ、例えるならダイエットみたいなものだと思う。ステーキを見ちゃうと食べたくなるから見ないようにする。そうすればサラダが美味しく感じるし、それで満足できる」
「んー、まぁ…わからなくもない」
「だから恋愛なんてしない方が感情の浮き沈みがなくて楽なんだよね。俺はできるだけ波風立てたくないし、他人の審査対象になりたくないし、いるもいないも同然みたいな扱いがちょうどいい」
「はぁ、なるほど」
前に北斗は中学時代に「僕ってさ、なんでモテないんだろうね」とクラスの女子に尋ねたところ、女子たちが笑い合って「北斗はなんかないよね」と言われてしまったと悲しげな目で語っていた。
明確な理由を伝えられず話が終わってしまったことに今でも恐怖を感じて、自分には致命的ななにかがあると思い込んでいるのだろう。
勢いのままに言いたいことはスッと出てきたのに、今の北斗がどんな顔をしているのかを見る勇気はなかった。
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作者名：羽瀬 | 作成日時：2020年7月2日 1時
