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「二人、最近よく話してるよね？」
「あー、うん。ほんとにここ最近ね」
「タイプとか真逆なのに、なんか意外かも」
「はは、俺もそう思う」
「松村くんってさ、全体的に大人っぽいよね。同級生に思えないっていうか」
北斗のことを年の割には落ち着いてんなとか、人間味が薄いとかって怖がる人もいれば、それを魅力だと思ってくれる人もいるんだ。
なぜホッとしているのか、自分でもよくわからなかった。
話してみれば全然年相応だしガキっぽいんだけどなぁ。
「呼んで来ようか？」
「違う違う！気になってたから話聞きたかっただけっていうか！」
俺の発言に彼女は少しツンとした表情が崩れて、からかいを含んだように笑っていた。
「ていうか松村くん今日参加してないよね？」
「あ、そうだっけ？」
「そうそう。それに多分、心に決めてる人とかいるんじゃないかな」
コソッと耳元で小さくそう囁かれた彼女の声に、無意識に手が止まる。
これだけ騒がしい空間にいるはずが、スッと全ての音が止まったような奇妙な感覚に襲われた。
他人にそこまで興味もないであろう北斗にそんな人がいるなんて信じ難い話だけど、ありえなくはない。
「松村くん、女っ気があまりにもないでしょ？モテるのに誰とも付き合おうとしないから他のとこに彼女がいるんじゃないかと思って」
彼女は一度短く息を吐き捨て、ぱっちりした大きな瞳を細める。
「京本先輩も怪しいなぁ」
「……は？え？え、なんで先輩？」
「あくまで例えばの話だけど、部活の先輩も言ってたの。松村くん、実は男子にもモテそうだしそっちなのかもねーって。で、京本先輩と仲良いでしょ？もしかするとそういうことなのかなぁと」
グラスを握った手の内側に、汗なのか水滴がわからない液体が滲む。
「お二人さんなに話してんのー？」
向かい側に座っていた慎太郎が前のめりになって、少し高めの声を響かせた。
やたらとニヤニヤしながら聞いてくるもんだから、なんだか不気味に思って適当に誤魔化したあと、トイレに行こうとその場を離れた。
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作者名：羽瀬 | 作成日時：2020年7月2日 1時
