簡単に語れないくらい ページ9
触れ合う肌の温度が気持ちよくて、しばらくそうしていると、俺の腕の中で身じろいだ先輩。
腕の力を弱めて顔を覗き込むと、俺の目線に気づいて、へへ、と笑った。
「……すきだよ、やまだ、」
「…嘘でしょ。」
「うん。すき。」
あべこべなことを言って、核心をつこうとするとふわりと身をかわしてしまう。
シャラ、とムーンストーンのネックレスが、真っ白な首の上で揺れた。
先輩は、どれだけ日渡先輩のことを愛していたんだろう。
きっと、結婚式に純白を着ていくような、自分を刺すようなことをしたんだから、簡単に語れないくらいに、先輩は日渡先輩のことが好きだったはず。
…所詮、日渡先輩の決意は、浮気して子どもができたくらいで揺るぐ簡単なものだったんだな、って思うけど、きっとそれを伊野尾先輩は否定するんだろうな。
「……おれが、子どもつくれないから、」
悲しげな色を含ませた瞳を、伊野尾先輩はなじませて隠してしまう。
「男なのに、男を好きになったから、悪いんだよ…」
目を伏せて俺の胸に顔を押し付ける。
自分の性別や、恋情を呪って、憎んで、この人はきっと、それが自分を傷つけていることに気がついていない。
「…すきだよ、いのおせんぱい、」
「嘘でしょ？」
「…うん、嘘。」
もろともベッドに倒れこんで、細い体を抱きしめる。
ふわり、と香った匂いに、自分のことじゃないのに胸が締め付けられた。
伊野尾先輩が仕返しをやめた時に香った、嗅いだことのある匂い。ああ、これ、部長が一時期使ってたシャンプーの匂いだ。
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ふるは(プロフ) - やまいの。カップル本当に本当に最高です。読ませて頂きましてありがとうございました。荒んだ心がフンワカになりましたー。幸せすぎた。 (2019年2月18日 11時) (
レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
酢雨(プロフ) - 翠羽さん» ありがとうございます！他の作品の更新も頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします！！ (2016年12月16日 19時) (レス) id: 6fbaab6cd7 (このIDを非表示/違反報告)
翠羽(プロフ) - 文章や台詞がすごく綺麗で、どんどん読みたくなって、3回ぐらいは読み直しました、(笑) 酢雨さんの小説が大好きなので、これからも更新楽しみにしています！ (2016年12月16日 19時) (レス) id: 69b0673946 (このIDを非表示/違反報告)
酢雨(プロフ) - 桜夜兎。さん» 実は下ネタ言わせるのは好きだけど裏書くのは苦手だったりね()クリスマス頑張るわ！ (2016年12月16日 16時) (レス) id: 6fbaab6cd7 (このIDを非表示/違反報告)
桜夜兎。(プロフ) - 酢雨ちゃんとしては珍しく、下 ネタもおせっせもなくてビックリしてます笑笑 純情すぎて真っ白なオーラを見にまとってそうな伊野尾さんのお話、すっごく楽しかったです。笑 クリスマス企画、頑張ってね！ (2016年12月15日 23時) (レス) id: bb6028a314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：酢雨 | 作成日時：2016年11月27日 11時
