甘い匂い ページ31
先輩は、震える手で、俺の腕を掴んで、ぽすん、となんともおとなしく俺の腕の中に収まった。
「…やまだ、」
「…なに、先輩。」
「もっと…きす、してほしい、」
確かに俺より身長は高いけど、全然細くて華奢な体。
首筋に顔を埋めて、心地いい伊野尾先輩の香りで肺を満たしてから顔を上げた。
ねえせんぱい、知ってた?
『与えられる側』に回ろうとする人は、『与える側』になってしまったら、手放された時により苦しくないように、愛について諦めようとしているんだってこと。
「……先輩、おれ、先輩のこと手放さないから…俺の先輩への気持ちと同じくらい、先輩も俺を好きになって。
…一方的な、愛する方と愛される方に分かれるんじゃなくて、愛して、愛される関係がいい。」
目を見つめてそう言うと、先輩は大きな目をまんまるにして俺を見た。
自尊心が低いのも、自分を下に見てしまうのも、相手を優先するのも、それはもう今まで歩んできたものだから仕方ない。
だから、俺が変えてあげるから。
「…ふふ、」
「なに笑ってんの、」
「…やまだは、ロマンチストだ。」
「あー……よく言われるけど、
…っん…、」
ふわり、と鼻腔をくすぐる先輩の甘い匂い。
後頭部に手を回して髪をかき回すと、先輩の腕が俺の首に回った。
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ふるは(プロフ) - やまいの。カップル本当に本当に最高です。読ませて頂きましてありがとうございました。荒んだ心がフンワカになりましたー。幸せすぎた。 (2019年2月18日 11時) (レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
酢雨(プロフ) - 翠羽さん» ありがとうございます!他の作品の更新も頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします!! (2016年12月16日 19時) (レス) id: 6fbaab6cd7 (このIDを非表示/違反報告)
翠羽(プロフ) - 文章や台詞がすごく綺麗で、どんどん読みたくなって、3回ぐらいは読み直しました、(笑) 酢雨さんの小説が大好きなので、これからも更新楽しみにしています! (2016年12月16日 19時) (レス) id: 69b0673946 (このIDを非表示/違反報告)
酢雨(プロフ) - 桜夜兎。さん» 実は下ネタ言わせるのは好きだけど裏書くのは苦手だったりね()クリスマス頑張るわ! (2016年12月16日 16時) (レス) id: 6fbaab6cd7 (このIDを非表示/違反報告)
桜夜兎。(プロフ) - 酢雨ちゃんとしては珍しく、下 ネタもおせっせもなくてビックリしてます笑笑 純情すぎて真っ白なオーラを見にまとってそうな伊野尾さんのお話、すっごく楽しかったです。笑 クリスマス企画、頑張ってね! (2016年12月15日 23時) (レス) id: bb6028a314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酢雨 | 作成日時:2016年11月27日 11時