繊細で、可愛らしい ページ3
『りょうすけ、別れて。』
『は…？』
別れ話をされたのは5月、だんだんとあったかくなってきた頃だった。
いつものようにサッカー部の部室で、使ったボールを磨いていた時。
『……部長に抱かれたの。
あの人、誠実だから。責任とるって……』
『…まって、話が見えな、』
『子どもができたの。』
は？ってなるよね、そりゃ。
だって、そんなんさぁ。
告白してきたのそっちじゃん？その時は好きじゃなかったけど、今はもう、見かけるだけで心が躍ってしまうようなのに、なんでって。
ばいばいって部室を出て行った先輩。
そのまま喋ることもなく卒業して、俺も卒業して、大学行ってて。
本当は、招待状が来た時、嫌がらせかって思ったんだけど。
「…いのちゃん、」
「ふふ、そーんな心配してくれなくても大丈夫だって。」
と、ふとこっちに視線をやったその人。
慌てて笑顔を作って軽くお辞儀をすると、その人はふわりと笑ってお辞儀し返して来た。
「…俺のこと見て愛想よくしてくれた人、はじめてだ。」
おちゃらけるようにそう大きな目を細めたその人。
無意識に足がそっちに向いて、2人に近づいていく。
あ…子犬みたいな人、思ってたよりもっとちっちゃい。おんなじくらいかな？
「あんまり幸せな結婚じゃないんだから、いいんじゃないですか？」
思わず口からぽろっと出てしまって慌てて口をおさえる。いや、おさえても遅いんだけど。
「…何かあったんですか？
…それとも、何か知ってるんですか？」
なぜか一気に警戒心強めな表情になったその人。
「……新婦、いるじゃないですか。
もともと、付き合ってて、新郎に寝取られちゃって。
…くだらない嫉妬だけど、むかついちゃって。だから、潔く白着てる人がいて、ちょっと救われた気がして。」
目を引く理由がもうひとつわかった。
この人は、芸能人かって思うくらい綺麗だ。それに、一挙一動がなんだか、繊細で、可愛らしい。
「……そ、ですか……単なる嫌がらせですけどね、このジャケットも。」
「少なくともそれで救われた人がここにいます。」
「…ふふ、そーですね。
だーいちゃん、ちょっとだけ退いて？」
そう下を向いて笑って、綺麗な手でジャケットのボタンを外していく。
…ジャケット着ててもそうだったけど、シャツ1枚だと細さが目立つ。
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ふるは(プロフ) - やまいの。カップル本当に本当に最高です。読ませて頂きましてありがとうございました。荒んだ心がフンワカになりましたー。幸せすぎた。 (2019年2月18日 11時) (
レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
酢雨(プロフ) - 翠羽さん» ありがとうございます！他の作品の更新も頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします！！ (2016年12月16日 19時) (レス) id: 6fbaab6cd7 (このIDを非表示/違反報告)
翠羽(プロフ) - 文章や台詞がすごく綺麗で、どんどん読みたくなって、3回ぐらいは読み直しました、(笑) 酢雨さんの小説が大好きなので、これからも更新楽しみにしています！ (2016年12月16日 19時) (レス) id: 69b0673946 (このIDを非表示/違反報告)
酢雨(プロフ) - 桜夜兎。さん» 実は下ネタ言わせるのは好きだけど裏書くのは苦手だったりね()クリスマス頑張るわ！ (2016年12月16日 16時) (レス) id: 6fbaab6cd7 (このIDを非表示/違反報告)
桜夜兎。(プロフ) - 酢雨ちゃんとしては珍しく、下 ネタもおせっせもなくてビックリしてます笑笑 純情すぎて真っ白なオーラを見にまとってそうな伊野尾さんのお話、すっごく楽しかったです。笑 クリスマス企画、頑張ってね！ (2016年12月15日 23時) (レス) id: bb6028a314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：酢雨 | 作成日時：2016年11月27日 11時
