▽トライアングル 2▲【横倉】 (ページ8)

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⊿piece52 ページ8

◎A

走れ

走れ

いつだって忠義くんが

わたしを探し出してくれた

必ず、見つけてくれた。

待っていてくれた。

走れ…！

〔Aちゃん〕って

その声が、今すぐ聞きたい。

忠義くんの、笑顔がみたい

忠義くんの事が好き。

それだけなの…！

「はぁ、はぁ…はぁっ、………」

やっぱり。海辺に居る気がした。

―ぎゅう。

『！？……A…ちゃん？』

…その声を聞いただけで、泣きそうになる。

「ごめん…忠義くん。…後ろから…。驚いたよね」

『ううん。』

ギュッ。と忠義くんの服を握りしめる。

ちゃんと目を見て、伝えるの。
大好きな人の目を見て伝えるんだ。
握った服から手を放して、忠義くんと向き合うと
…忠義くんは少し驚いた顔をしてて。

『…Aちゃん、どうし・・「忠義くんの笑顔が好き優しい声が好き。あったかい手が………好きっ
……っ…まだ、あるのにっ」

涙を止めなきゃ。

声が震える。手が冷たくなる。

足も震える。

でも
それ以上に胸がいっぱいなの。

「忠義くん………」

『大丈夫やで』

初めて見た、忠義くんの、そんな表情。

優しすぎて

また涙が流れる。

綺麗な言葉で告白なんかできない

だってそんな言葉、見つからないよ…一つだけしか、浮かばない。

「好きです。忠義くんが好き。
今の今までずっと好き。しつこくてごめんね。
でもどうやっても、諦めようとしても忠義くんが好きなの…。こんな感情、今まで知らなかった…。」

わたしの、たった一人の人。

『や・・・。多分俺のほうが好きやで。』

『誰よりもAちゃんの事が好き。』

ぎゅうっと、包まれた温もり。
幸せでまた、涙がでた。

『Aちゃんにいっぱい救われて、あったかい気持ちに何回もなって。…俺、こんな気持ちはじめて。…ありがとう。』

そんなこと言われるなんて、思ってもみなかったから。ぶわっとまた涙が蘇っちゃって、忠義くんは慌てた。