▽トライアングル 2▲【横倉】 (ページ27)

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⊿piece61 ページ27

◯横山

大倉に連れられて、Aと岩本さんの文化祭にやってきた。映画みたいに綺麗な校舎。俺んとここんなんちゃうかったから、それに少しテンションが上がる。

「美菜子のクラス、二階らしいで」

大倉が玄関に大きく貼られた案内板を指差した。岩本さんと会うん意外と久しぶり？ Aともそういや同じくらい会ってない。俺のこと２人とも避けてんの？ってくらい。

『なぁ、大倉ー』

「ん、どしたんー？」

『いや…なんでもない。行こ』

「あ、ちょっと、横山くん待ってや………「あのっ！！大学生ですかっ？？」…………え？」

先を進む俺に＂なに言いかけたん？＂っていう大倉の声は掻き消されて、俺らのまわりに女子生徒達が集まった。途端に身動きが取れへんくなって困ってる俺とは反対に、大倉は慣れた笑顔で対応する。

「やばいー！かっこいいー！！！」

「ありがとー♡なぁなぁ、ハロウィン喫茶ってどこか分かる～？」

「にかいです！アタシ達、案内しますよ！」

「ほんまにー？ありがと。じゃあお願いしよかな～。なぁ？横山くん！」

キャッキャとはしゃぐ彼女達に囲まれながら、黙って進む方向について行く俺ら。目線は彼女達に笑いかけたままで、隣の大倉にしか聞こえないように小さく呟いた。

『おん…流石やな大倉。そりゃモテるわ…』

「よー言う！横山くんには言われたないわぁ～」

大倉に言いかけたことは結局言えずに、俺の喉元にひっかかったまま。飲み込むことも吐き出すことも出来んかった。でもなんか安心した自分がおる。

『 (お前って、俺の欲しいもん全部もってるよな) 』

あー、最低やな、俺。