▽トライアングル 2▲【横倉】 (ページ26)

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⊿piece60 ページ26

◯大倉

～文化祭前夜～

「Aは受け付け係で、うちは中で注文とってるから絶対きてね！…あっ！ねー！大倉！横山くんにもちゃんと行けるか聞いてよ！」

『あのさぁ、そりゃもちろん行かしてもらうつもりやねんけどさ…』

＂そんなん自分で聞いて＂って言おうとして、慌てて飲み込む。俺たちの複雑な関係がやっと綺麗に形成されたのに、それを壊すのが怖いのか、お互いに相談し合う。

俺はAちゃんのことは、美菜子や横山くんに。そして横山くんと美菜子は、俺とAちゃんに聞いてくる。きっとAちゃんも同じようなことをしてると思う。

まぁ、今回もそんな感じで、夜中の１時やってのに美菜子は＂ご近所・幼馴染み特権＂を乱用して俺の部屋にやって来る。スッピン眼鏡にジャージ。

俺は見慣れてるけど、頑なに美菜子は横山くんに＂オフ＂の姿を見せない。冗談で＂今から横山くん呼んでラーメン食いにいく？＂って聞いたら、美菜子が鬼の形相で＂マジで殴るよ？＂と本気で拳をつくる。

「そもそも、うちが大倉に教えてなかったら、アンタはAの仮装姿見れてないんだからね！」

感謝しろとでも言いたげな、美菜子。

『よう言うわ。自分じゃ横山くんのこと誘われへんクセに』

美菜子がこんなにも恋愛に奥手なの、珍しい。

「……だって、ガツガツ行って嫌われたくないじゃん」

お前もうちょっと恋愛上手じゃなかったっけ？って思ったけど、そうでもないみたい。コイツほんまに好きなんやなぁ、横山くんのこと。

『たまには、俺らのことばっかじゃなくて、自分らの事も考えや』

美菜子はいつもいつも、俺とAちゃんが上手くいくように作戦会議～！とか言うてるけど。

まぁ、こんなん言うてる俺も頑張れよって感じなんやけど。

その日は美菜子と久しぶりに明け方まで恋愛トークを繰り広げた。なんかコイツとこんな話真剣に出来る日が来るなんてなぁってちょっと感慨深くなったのは、俺だけのヒミツ。