��piece58 ページ24
◎美菜子
ただ今の時刻、17時半。Aと大倉のバイト先のカフェで作戦会議。大倉目当てじゃないよ。ここの日替わりデザート目当て。
あ、Aは大倉目当てかもしれないけど。
来週はいよいよ文化祭。ハロウィン喫茶の準備は着々と進んでいて、後は自分達が何を着るか、仮装を決めるだけの最終段階！Aに双子コーデも断られたし、赤ずきんも断られたし、ネタ切れですワタシ。
うちはAの事デブだとか太ってるとか思ったことないんだけど、彼女的には自分の体型が不満らしい。“どうすれば痩せて見えるか？”とか“どうしたらあまり露出しないか？”って、さっきから２人でスマホとにらめっこ。
「当日休もうかな…本当に着たくないよ〜〜どうしよう、でもズル休みする勇気もない！」
「うちがAならソッコーで休むけど」
「今すごく美菜子が羨ましいよ。特技だもんね」
「なっ！最近ちゃんと行っ…『お客さん、コーヒーのおかわりいかがですか？』…あ！」
２人で談笑していると、コーヒーポットを持った店員さんが私たちのテーブルの前に立った。もちろんその店員さんは大倉で。バイト中の彼は素敵な営業スマイルで私のコーヒーカップにコーヒーをそそいだ。
『ほんまはアカンねんけど、Aちゃんもココアのおかわりいる？』
「え…いいんですかっ！……怒られたりしない…？」
『ジョージさんにバレたらめっちゃ怒られるかもしれんけど、まぁ今、俺ひとりやし、お客さんも少ないから平気。どうせ俺の給料から引かれるだけやし』
「じゃあ、大倉さん…デザートのおかわりも…♡」
『コラ、調子のんなよ美菜子』
「アンタ本当にAと付き合ってから、ウチへの態度酷いよね」
大倉は、Aのマグカップをトレーに乗せて、うちを睨んだ後、彼女のAにニッコリと“ごゆっくり♡”と言ってカウンターに戻る。その後ろ姿をうっとりした瞳で見るA。
ジョージさんっていうのは、このカフェのマスター。すごく優しい人で、怒ったりなんてしないし、天引きもしない。本当に素敵なオジさん。だから、大倉もすごく慕ってる。
大倉と少し話しただけなのに、顔を真っ赤にしているA。それを見てすごい優しい笑顔で見つめる大倉。２人を見ていると、Aは日に日に可愛くなってくるし、大倉は別人みたいに優しくなっていく。
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作者名：∞くらゆい∞ x他1人 | 作成日時：2017年8月27日 0時
