��piece00 ( t.o ) 5 ページ17
◯大倉
「忠義くん〜。ねぇ、今日遊ぼーよ。午後から授業ないでしょ？」
空きコマの間ヤスと食堂で談笑していたら、同じ授業取ってる女の子が俺の肩を叩いた。名前もどこの学部かも知らないんやけど。
『あ〜、ごめん。俺今日は先約があるねん』
「先約？軽音部の人とかじゃなさそうだし…忠義くんって彼女居たっけ？」
怪訝な目で俺を見つめる女の子と、他人行儀の笑顔でヘラヘラする俺。それを不思議そうな顔で見つめるヤス。3人の微妙な雰囲気が気まずい。
『ううん、違う。おらんよ。彼女とかっていうよりもっと特別な人かなぁ』
"ごめんね"と軽く謝ると、彼女は不機嫌そうな顔で"またね"と言って背を向け女子の群れに紛れていった。
すぐに"女子の群れたち"が皆こちらを見ながらヒソヒソと話していたけど、気にせずに目の前にあるコーヒーに口をつけた。
「モテるって辛いなぁ、大倉さん」
『ニヤニヤしながら言うなや』
「いやだってこんなに女子に人気やのに、年下の幼なじみのことが好きで告白出来ひんって漫画みたいやん〜！かわいいなぁ、大倉〜♡」
『おいヤス！俺は告白出来ひんのちゃう、せーへんの！分かるか？！』
「じゃあなんで、告白せーへんの？」
笑顔で訊いてくるヤスの言葉がグサっと心に刺さる。直球ストレートの確信的な言葉に言い返すことが出来なくて。不穏な空気を飲み込むかのように、またコーヒーに口をつけた。
自分でもあからさま過ぎるなと思う。ヤスの言う通りや、"しない"んじゃない。"出来ない"。
なんで？
怖いから？
アイツに彼氏おらんから？
美菜子を絶対に俺のモノに出来ひんのなら、彼女が誰のモノにもならなければいいと思った。そしたら彼女の事をずっと好きで居れる。
ずっと"幼なじみ"として一緒に居たら、傷つくことも、壊れることもないから。
最低やけど。心から、強く思った。
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作者名：∞くらゆい∞ x他1人 | 作成日時：2017年8月27日 0時
