7人の虎にはご注意を。#3【Travis Japan】 (ページ34)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:440,033 hit

°Tiger113 新婚さんページ34

松倉side

「こっちの方がいいかなぁ」

カートを引く俺は、悩んで食材を選ぶAを後ろから微笑ましく見つめていた。

「こっちのお肉の方が良さそうかも」

松倉「そうなの？」

「海斗はどう思う？」

松倉「分かんない(笑)」

彼女は「なんやねん」と言いながらお肉をカゴに入れる。

「あとは」

夕飯のことを考えながら歩く彼女の後ろ姿はまるで若い主婦。

そして俺は買い物に付き合う旦那といったところか。

松倉「(新婚っぽいな)」

一人で幸せな妄想をし、俺は思わずニヤけそうになる。

「欲しいものとかある？」

松倉「Aの作ったものならなんでもいい」

「ほんと？まあ、作るってほどでもないんだけど…」

ジャンケンで負けて良かった。

元太も海人もすっごい代わってほしそうに見てきてたけど。

松倉「A」

「ん？」

松倉「今度、味噌バターコーンラーメン作ってよ」

「いいけどそれって作るものなの(笑)」

彼女の手料理が食べたい。

みんなのためじゃなくて、俺だけに作った。

また、想像して幸せな気持ちになる。

仕事から帰ったら大好きなAと手料理が待っている。

松倉「(最高じゃん…もう本当好き)」

健気に野菜を選ぶ彼女が可愛すぎて仕方がない。

愛おしすぎる。

好きは減るどころか倍増していく一方。

松倉「(お嫁さんにしたい…)」

そんなことを思いながら彼女の後を歩く。

すると

店員「ちょっとそこのお二人さん！これ食べてって」

試食の店員さんが俺たちを呼んだ。

「ありがとうございます」

松倉「ありがとうございます」

ソーセージが刺さっている爪楊枝を渡され、一口で食べる。

「美味しい」

店員「これ冷めても美味しいから旦那さんの弁当に入れてあげな！」

旦那さん…？

「旦那…さん？」

店員「あれ？貴方たち新婚さんじゃなかったの？」

松倉「！！」

「ち違いますよ！こ、これは買いますね！」

Aはソーセージをカゴに入れ、慌てたようにその場を離れる。

そうか、俺たちは新婚さんに見えるんだ。

嬉しい。

松倉「なあ、A」

カートを引きながら名前を呼ぶ。

「何？」

彼女は卵を手に取りながら短く返事をした。

松倉「俺のお嫁さんになって下さい」