7人の虎にはご注意を。#3【Travis Japan】 (ページ2)

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°Tiger81 歪みページ2

七五三掛side

帰宅してからというもの。

Aはリビングのソファでずっと膝を抱えていた。

七五三掛「はい、紅茶」

俺は温かい紅茶を机に置く。

七五三掛「これ飲んで、少しは落ち着いて」

「…ありがと、お兄ちゃん」

七五三掛「あ、そうだ。マネージャーさんに連絡しておこうか」

「いい。心配かけたくない」

Aはそれきりまた無言になる。

七五三掛「怖い思いさせてごめん」

「………お兄ちゃんは悪くない」

彼女は女性アイドルグループに所属していた時、ファンにストーカーされたことがあった。

その時にファンと揉めてAは…

ナイフで腹部を刺された。

幸い、傷は浅かった。

だが、精神にダメージを負いグループを卒業。

芸能活動を一旦休止。

七五三掛「(あんなことがあったのにまた事件が起こってしまったら…)」

今度こそAの心は病んでしまうかもしれない。

「お兄ちゃん、助けてくれて本当にありがとう」

七五三掛「そんなの、当たり前じゃん」

「私、お兄ちゃんがお兄ちゃんで良かった」

そう言うと妹はやっと顔を上げ、俺にギュッと抱きついた。

七五三掛「(ごめん、A…俺は本当の兄じゃないんだ… Aは養子なんだよ…)」

なんてことが言えるわけもなく、俺は優しくAの背中をさする。

「私ね、お兄ちゃんに彼女できたら嫌なんだ」

そう、ぼそっと小さな声で言った。

七五三掛「え？」

「私、ブラコンだもん」

七五三掛「そんな可愛いこと言わないでよ」

俺だってAに彼氏ができたら嫌だ。

そのために今までAに彼氏ができないようにいろいろしてきたんだ。

七五三掛「少しは落ち着いた？」

「うん」

七五三掛「しばらくは一人で帰っちゃダメだよ？俺でも他のメンバーでもいいから誰かと帰りな」

「分かった」

彼女は俺の背中に巻きつけていた手を離すと、やっと笑顔を見せてくれた。

俺は手のひらでAの頬を包み込む。

七五三掛「愛してるよ、A」

「私もだよ」

俺たちの関係は少し歪(いびつ)だ。

Aは俺の大切な大切な

イモウト。