7人の虎にはご注意を。#2【Travis Japan 】 (ページ48)

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Another Story～PET TIGER③～ページ48

中村side

「ありえない！今うみのせいで負けた！」

中村「いや今のはAのミスだね」

単独コンサートの日から俺たちは急激に距離を縮めていた。

最近はよくゲームを一緒にしている。

今は俺の家でサバイバルゲームをしていた。

「これはもう一回だわ」

中村「次こそ協力」

今まであんなに距離があったのが嘘のようだ。

今では彼女は俺にとって一緒にいて楽な友達。

もっと早くから勇気を振り絞っておけば良かった。

「やった！一位！」

中村「いえーい！」

俺たちは満面の笑みでハイタッチをする。

「じゃあそろそろ帰ろうかな」

中村「送る。外も暗いし」

彼女はファンにストーカーされ、傷を癒すために今は芸能活動を休止中。

俺は夜道を一人で歩かせるのが心配だった。

「いいよ、そんなの」

中村「俺が送りたいの。さ、行こ」

暗い道をたわいもない会話をしながら歩く。

とても穏やかな時間だった。

「やっぱうみといると楽しい」

中村「ほんと？まあ、俺もなんだけどね」

「じゃあ私たち両想いだ(笑)」

中村「そうそう両想い(笑)」

駅に向かって歩いている途中

Aは突然「あっ」と大声を上げた。

中村「え」

彼女はいきなり走り出す。

＿俺の目に映る光景。

トラックの光とその目の前には道に飛び出した子供。

それを助けに行くA。

中村「(危ない！)」

クラクションの音。

俺は思わず目を瞑った。

運転手「危ないだろ！」

怒鳴り声が聞こえ、恐る恐る目を開ける。

「本当にすみません。僕、こっちはおいで」

Aは飛び出した子供を歩道へと連れ出す。

中村「はぁ…」

轢かれたかと思った。

急に彼女が子供を庇ってトラックの前に飛び出すから、本当に怖かった。

俺は急いで二人に駆け寄る。

中村「怪我は！？」

「ないよ。ねえ、お母さんは？」

子供「いるよ。あ、おかーさーん！」

子供は何事もなかったようにピンピンしている。

こちらに向かって走ってくる母親に手を振った。

母「こら！どこに行ってたの！」

子供「お姉さんありがとう！またね！」

どうやらメンタルも傷ついていないらしい。

子供は母親に連れられ、暗闇へと消えて行った。

「…」

ふとAに視線を移す。

彼女は震えていた。