7人の虎にはご注意を。#2【Travis Japan 】 (ページ16)

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°Tiger55 誘導ページ16

川島side

川島「(A、話ってなんだろう)」

個人の仕事が終わり、俺はAに呼び出されていた。

電話での彼女は少し深刻な声色だった。

待ち合わせ場所のカフェ。

入るとすぐにカウンター席に座る丸メガネのAと視線が合う。

「如恵留くん忙しいのにごめんね」

川島「それは全然いいんだけど。あ、コーヒーで」

俺はそばに来た店員さんに声をかけ、すぐにAに向き直る。

川島「悩み事？」

「うん」

頷く彼女の顔はどこか暗い。

やはり深刻な話なんだ。

「あのね」

川島「うん」

「あのね」

覚悟を決めたように口を開く。

そして

「私、海斗にムラムラしちゃったの」

村村？

むらむら？

ムラムラ？

川島「はぁぁ！？」

予想もしていなかったことを言われ、俺は思わず大きな声を出してしまった。

「ちょ、静かに」

川島「あ、ごめん。じゃなくて！どういうこと？」

まさかAの口からムラムラという言葉が出るなんて。

しかも相手は松倉。

とりあえず深刻ではなさそうだ。

「さっき海斗と少し会ったんだけどなんていうかカッコいいなって思って…いつもなら意識とかしないんだけど…」

もしかして俺、恋愛相談されてる？

「近くで顔見たら心臓が壊れそうなくらいドキドキして」

それは…恋じゃないのかな。

とは、口に出して言えなかった。

本当に松倉に恋をしているのかは分からないが、自分の気持ちに気付いて欲しくない。

もしAが松倉のことを好きと自覚してしまったら。

川島「なんか嫌だ」

「何が？」

川島「俺にはドキドキしない？」

俺は彼女の目を真っ直ぐ見つめ、唇をそっとなぞる。

「如恵留くんは顔が綺麗すぎるからいつもドキドキしてるよ、私」

川島「え、そうなの？」

「うん。あ、これもムラムラっていうのかな？」

顔が綺麗なんて、俺だって思ってる。

Aの方が百倍綺麗だ。

川島「(A、俺にドキドキしてくれてたんだ)」

何故だか分からないが物凄く嬉しい。

川島「松倉のことだけど…それ気の迷いじゃないかな？」

「んー、やっぱそうだよね」

俺だけにドキドキしてて。