妖怪が目覚めた日 捌 ページ10
「ふむ、やはり吸血木じゃな」
「でも父さん、吸血木を操る妖怪は何百年も前に封印されたのでは?」
数々のビルが所狭しと建っている中心に不気味な大木が夕焼けの空に伸びていた。
その周りはブルーシートで囲われており、更にそれを囲うようにして人だかりができている
まなはその人々と同様にスマホで写真を撮る
百架は木の葉が舞う大木を見上げていた。
「えっと、まなちゃんじゃったかな?
そのスマッシュ便利そうじゃな」
「スマホだけど……。やってみる?」
頬(?)を赤く染めて興味深げに言う目玉おやじの言葉をまなは苦笑しながら訂正し、スマホの画面を自身から目玉おやじへと向けた。
「そこをスワイプして……。あっスワイプってのはニューンって」
「おお、ここをこうやると?おお!鬼太郎すごいぞこれは!」
「そうですね父さん……」
おそるおそるスマホを操作するも画面が変わるたびに目玉おやじは感動の声を上げる
対して鬼太郎は興味なさ気な声を返し、飛んできた虫を目で追った。
すると、視線が行きついた先には木を見上げる百架がおり、鬼太郎はそのまま百架を見つめる
百架は大木から視線を少し落とす。そこには、大木の写真をスマホに収める者が大勢いた。
その異様とも感じる当たり前な光景が目に入り、若干の恐怖と不快感が百架の中に渦巻いた。
そして何気に、本当に何気に鬼太郎に視線を向ける
すると先ほどから百架を見つめる鬼太郎と当然目が合うわけで
それを知らない百架は顔に出ていないものの焦燥感のようなものが心境を満たした。
人並み以上に物事に対して動じない百架ではあったが対人となると話は別だ。
はたから見れば分からないが、その心境は焦りに焦りまくっている
さて、どうしよう。その言葉が百架の脳裏を満たすものの解決策は俄然として出て来てくれず、そのまま目を合わす形となる
一方、そんな百架に気付くはずもなく、鬼太郎は百架に視線を注ぎ続けている
その目は観察しているようにも見え、逸らす気配など微塵も感じられない
それがより一層、百架の焦燥感を掻き立てることになるなど、彼には当然知る由もなかった。
「鬼太郎、おそらくこれじゃ」
気まずい空気の中にさらされていた百架にとってはまさに救いの声
顔には出ていないものの目玉おやじへの感謝と脱力しそうになる安堵感が百架の心境を満たした。
そして鬼太郎とまなと同様にスマホに視線を向ける
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花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;`Д´)これからも応援してます(^○^) (2020年12月31日 17時) (レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - レモンさん» コメントありがとうございます!1話書き終わるごとに更新していますのでもうすぐで公開する予定です! (2018年10月11日 17時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 面白かったです!続きが気になります! (2018年10月11日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - 雪華さん» 応援ありがとうございます!余裕が出来たらリクエストを募集しようと思っています。 (2018年10月11日 6時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - こちらこそすいませんでした。最新頑張って下さいね。 (2018年10月10日 19時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢まりも | 作成日時:2018年9月30日 11時