妖怪が目覚めた日 拾肆 ページ16
百架は動じることなく無表情で鬼太郎に近づき、自身が身に纏っていた制服の上着を羽織らせた。
そして、跡形もなく枯れ果てた吸血木の傍らにある鬼太郎の服を丁寧に拾い集める
「はい」
渡された服を黙って受け取る鬼太郎を見ると羽織らせた上着がミニスカート位の丈になっている
この時百架は久しぶりに己の身長が高くてよかったと思ったのだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿
空は漆黒に満ち、その中に浮かび上がっている一片も欠けてなどいない月が輝きを放っていた。
「父さん、心配かけてすみませんでした」
「いやいや、わしはお前の無事を信じておった」
ちゃんちゃんこの紐を結びながらそう言葉にする鬼太郎に目玉おやじはまなの掌の上で喜んだ。
着替え終わった鬼太郎は、先ほど着ていた制服の上着を持って
百架の前に行く
「ん……」
「ああ、うん」
無表情で渡された上着を百架は再び身に纏う
微かに若草の香りがした。
「僕が動けない間にも人間がたくさん吸血木にされたんですよね？」
「ああ、そうじゃ」
百架から目玉おやじに視線を変えてそう口にする鬼太郎に
目玉おやじは頷いた。
「行きましょう、父さん」
鬼太郎の言葉で
目玉おやじはまなの掌から鬼太郎の肩へと飛び移る
それを確認し、鬼太郎は歩き出す
するとその後を追うようにしてまなは足を踏み出した。
「まな、どこ行くの？」
「まだわからないのか？のびあがりは危険なんだ」
ガシリとまなの手首を掴み、そう言葉にする百架
その声色は冷たさを帯びていた。
そんな百架に続いて鬼太郎は昨日のように顔に影を差し
視線だけを此方に向けて言い放った。
「でも、でもついて行きたい！私にも何かできることがあるはずだよ！」
「……わかった」
しばしの沈黙ののち、意外にもあっさりと自身の手首を離す百架にまなは目を丸くする
「わたしも行く」
まなは更に目を見開いた。
百架は構わず一度まなから視線を逸らす
俯き加減なため、影が差し込みその表情を窺うことができない
「でも、もう二度とこんな事しないで」
そう口にして顔を上げたその目は
先ほどよりも冷たさを帯び、真っ直ぐにまなを射抜いた。
しかし、その奥の奥には確かに心配の色も窺えた。
まなはたじたじになりながらも首を縦に振る
それを確認し、百架は鬼太郎に視線を変える
「勝手にしろ、もう二度と助けないからな」
鬼太郎はしばし百架と目を合わせたのち
溜息交じりにそう告げる
それに百架は静かに頷いた。
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花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;｀Д´)これからも応援してます(^○^) (2020年12月31日 17時) (
レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - レモンさん» コメントありがとうございます！１話書き終わるごとに更新していますのでもうすぐで公開する予定です！ (2018年10月11日 17時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 面白かったです！続きが気になります！ (2018年10月11日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - 雪華さん» 応援ありがとうございます！余裕が出来たらリクエストを募集しようと思っています。 (2018年10月11日 6時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - こちらこそすいませんでした。最新頑張って下さいね。 (2018年10月10日 19時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢まりも | 作成日時：2018年9月30日 11時
