妖怪が目覚めた日 拾壱 ページ13
「ここからだとまなの家の方が近いよね、行っても大丈夫？」
「は、はい！今日は両親も居ないので……」
「おい、降ろせ」
淡々と口にする百架の言葉をまなは戸惑いつつ何とか答える
そこへ鬼太郎はぴしりと叩くように口を挟んだ。
「そんなフラフラで言われても説得力ないんだけど……」
「いらないと言ってるんだ。降ろせ」
百架は視線だけを鬼太郎に向けて呟くように言い放つが、鬼太郎も引くつもりはなく
百架の背中から離れようと手を付き言い放った。その声色は威圧にも似たものが感じ取れる。
しかし、百架はそれに動じる気配もなく、ただ無表情で鬼太郎を見る
背中に感じる力は弱々しいもので、それがまた、鬼太郎の状態を物語っていた。
百架は一度鬼太郎から視線を外し、静かに溜息を吐いた。
「じゃあ、選んで」
そう言葉にし、百架は鬼太郎に今度は顔を向けた。
予想通り、そこには顔色を悪くして眉間にしわを寄せる鬼太郎の顔があった。
「おんぶと抱きかかえられるのと横抱き、どれがいい？」
淡々と言い放つ百架に諦めたのかしばしの沈黙ののち、もう勝手にしろと言わんばかりに抵抗を止め、鬼太郎は脱力したように自身の体を百架にもたせかけた。
それを背中で感じ取り百架はまなに顔を向ける
「まな、悪いけど入り口付近に止めてある私の自転車押して行ってもらってもいい？」
「はい！わかりました」
まなは目玉おやじを掬い上げ、足早に去って行ったのを目にし、百架は再度鬼太郎に顔を向ける
気絶しているのか、ピクリとも動かない鬼太郎の頭頂部が見えた。
「ごめんなさい」
俯いて口にした言葉は、声にはならず
空気に溶けて消えていった＿＿＿＿＿＿＿＿。
＿＿＿＿＿＿＿＿
辺りはすっかり月に照らされたほの暗い闇に包まれた。
閑静な住宅街の中、街の灯がぽつりぽつりと虚ろに照らされた道に二人分の靴音と自転車のチェーンの音が耳の奥に染み入るように静かに響いた。
遠くではどこかの家の飼い犬か、もしくは野良犬の吠える声も聞こえた。
「ほんとに大丈夫？」
百架に背負われている鬼太郎に目をやり心配の声を上げるまな
そのまなの肩に乗っている目玉おやじにもその様子が窺えた。
そうこうしているうちにまなの家が見え、まなは小走りで自身の家の門を開ける
そして百架の自転車を庭の隅に止めて、また百架の元へ戻った。
「降ろしてくれ」
敷地に足を踏み入れた時、力なく、声よりも息に近い弱々しい声を上げる鬼太郎の言葉に若干迷った後
百架は静かにその場に降ろした。
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花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;｀Д´)これからも応援してます(^○^) (2020年12月31日 17時) (
レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - レモンさん» コメントありがとうございます！１話書き終わるごとに更新していますのでもうすぐで公開する予定です！ (2018年10月11日 17時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 面白かったです！続きが気になります！ (2018年10月11日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - 雪華さん» 応援ありがとうございます！余裕が出来たらリクエストを募集しようと思っています。 (2018年10月11日 6時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - こちらこそすいませんでした。最新頑張って下さいね。 (2018年10月10日 19時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢まりも | 作成日時：2018年9月30日 11時
