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妖怪が目覚めた日 拾 ページ12

「この奥であのバカ者がのびあがりの封印を剥がしたんじゃ」



再度怒りの声を目玉おやじが上げた時
鬼太郎の頭頂部の髪の毛が重力に逆らうようにピンッと立った。

その瞬間、鬼太郎がはじかれたように頭上を見上げる
百架もつられて頭上を見上げると天井に設置された通気口から¨何か¨が出てくるのが見えた。



「間違いない、のびあがりじゃ」


「あ……れが、.......のびあがり」



声を潜めて発した目玉おやじの視線の先には
横長に伸び、尾に行くにしたがって細くなっている半透明な体
その中には粒子のような物が蠢いており
足なのか手なのか、それが無数に生え、壁をヒタヒタと歩いている
そして、極め付きは赤眼のギョロリとした大きな一つ目ときた。

そのあまりにも現実離れしている見た目に予想はしていたものの
いざ目の前にすると百架は驚きで息を呑んだ。



「何にもいないよ」



しかし、まなの目には何も映し出されていなかったのか普段通りの声量で声を発してしまった。

その瞬間、百架は今までに感じたことのない焦燥感に駆られると同時に即座にまなの口を手で塞ぐが、のびあがりは此方に気付いた様子で視線を向けていた。その目は瞳孔が不気味に開いている

そして気付いたときには鬼太郎に突き飛ばされていた。

鬼太郎は即座にのびあがりの目から放たれた光線を腕で庇うが、その威力を受け止めきれず体が跳ね飛ばされてしまう、更にのびあがりの無数に伸びた手によって首を締め上げられてしまった。

苦し気にもがく鬼太郎が壁伝いに持ち上がるのを見てまなは目を丸くする
百架はただその状況を見ていることしかできなかった。

のびあがりは最後の仕上げと言わんばかりに鬼太郎の右手の甲に何かを植え付け始める



「まずい!それは吸血木の種じゃ!」



目玉おやじの言葉を最後にのびあがりは鬼太郎を解放し、通気口へと消えていった。



「少年!」



百架は即座にぐったりとしている鬼太郎に駆け寄った。



「しっかりせい、鬼太郎!」


「は……はい」



目玉おやじの声に返事をするも鬼太郎の声色は苦し気だった。



「ちょっと、大丈夫?」



まなも百架に続いて鬼太郎に駆け寄り心配の声を上げる



「ほっといて……くれ……」



そう言って立ち上がるも鬼太郎の足取りはおぼつかず、すぐに体が傾いてしまった。
百架は瞬時に鬼太郎の体の下に腕を滑り込ませ受け止める
そして、しばし考えたのちテキパキと鬼太郎を背負い上げた。

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花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;`Д´)これからも応援してます(^○^) (2020年12月31日 17時) (レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - レモンさん» コメントありがとうございます!1話書き終わるごとに更新していますのでもうすぐで公開する予定です! (2018年10月11日 17時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 面白かったです!続きが気になります! (2018年10月11日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
夢まりも - 雪華さん» 応援ありがとうございます!余裕が出来たらリクエストを募集しようと思っています。 (2018年10月11日 6時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - こちらこそすいませんでした。最新頑張って下さいね。 (2018年10月10日 19時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢まりも | 作成日時:2018年9月30日 11時

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