【ゲゲゲの鬼太郎】闇からの求める声

妖怪が目覚めた日 拾漆 ページ19

襲い掛かる風圧に耐えながら目を開けると、窮屈な風景が一気に開き、満月に照らされた街並みが百架の視界に広がった。

しかしまた視界が大きく揺れ、体に風圧が襲い掛かる

のびあがりは未だに目が痛むのか、目を細めて苦し気な声を上げる

百架は抜け出そうと自身を締め上げるのびあがりの腕に手をかけるがびくともしない
するとその時、¨カラン¨と聞き覚えのある音が木霊した。
目をやると、この先に続く道路に一つの小さな影が躍り出る

鬼太郎だ

のびあがりはまたもや目から鬼太郎に向かって光線を放った。



「お前の最大の武器は最大の弱点だ！」



カラン、コロンと下駄を鳴らし、此方に近づく鬼太郎
そして尚且つ
のびあがりの目から放たれた何発もの光線を無駄な動き一つせず躱しながら言い放った。



「霊毛ちゃんちゃんこ！」



そして自身が身に纏っていたちゃんちゃんこに手をかけ、それを大きく広げてのびあがりの目に叩きつける
のびあがりは再び苦し気な声を上げ其処から逃れるように飛び立った。
百架の体に更に強い風圧が襲い掛かる

一方、まなは鬼太郎を追いかけるべく目玉おやじを握りしめ、工事現場の外に出た。
すると現れたのは百架を締め上げているのびあがりの姿だった。
反射的にまなは足を止めてしまう



「のびあがりじゃ！」


「まな、逃げて！」



目玉おやじの焦る声に続いて、百架は風圧に耐えながらまなに言い放った。
しかしまなは足がすくんでしまったのかその場から動かない
そんなまなに構うことなく、のびあがりは距離を縮め続ける



「髪の毛針！」



そこへ鬼太郎が現れ、毛針を放つ
毛針はのびあがりの目に突き刺さり、のびあがりは体をくねらせ目を天にやる
それを見計らい鬼太郎は下駄を放った。



「リモコン下駄！」



下駄は天高く上がった後、のびあがりの目に直撃した。

その瞬間
今まで襲い掛かってきた風圧や腰回りの圧迫感が消えて代わりにとてつもない浮遊感が百架を襲った。

体中に駆け巡る風を感じながら百架はすぐに襲って来るであろう痛みに反射的に目を固く閉じ、体を硬直させる
しかし百架を襲ったのは痛みではなく背中と膝の裏に腕を回された感覚だった。

ハッと目を開けるとそこには鬼太郎の横顔が視界一杯に広がっていた。



「しょ、少年……」


「掴まってろ！」



鬼太郎の言葉に百架は戸惑いながら鬼太郎の服に掴まる
それを確認し、鬼太郎はのびあがりに体を向き変えて百架の首に手を回し、鉄砲の様に構える



「指鉄砲！」



指先から閃光が放たれ、のびあがりの目を貫き、爆発した。

妖怪が目覚めた日 拾捌→←妖怪が目覚めた日 拾陸

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す