漆頁目 ページ17
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返答が返ってこない。玄矩は横目で冥を見た。そこで、少しだけ安心した。急に黙りこくってしまうものだから、もしかすると消えてなくなってしまったり──なんて思ったのだ。確かにそこに冥は存在した。
冥は変わらずパタパタと靴を鳴らすが、先とは違い俯いたままだった。
これは玄矩の考察に過ぎないが──恐らく、母親と食べた夕食を思い出したのだろう。焼き付いた日常というのは記憶を超えて、絶対に剥がれ落ちないものである。それは玄矩自身もよく知っている。突然その“当たり前”が奪われた冥には同情した。ただ、まだ奪い返せるのならそれに賭けるべきだ。
「…秘密でファミレスでも寄る？ めっちゃ早い夕飯になるけど。俺腹減ったし」
「……うん！」
「あっれ〜？ りゅーさんに返す返事は『はい』だったんだけどなぁ」
冥はまた嬉しそうに大きく頷く。悲しくなったり嬉しくなったり忙しい人間だな、と玄矩は鼻で溜め息を吐いた。弾むように歩く冥を、ゆっくり歩いて追った。
「あんま高いのやめてね。遠慮しろよ少しは。俺の金だから」
「うん」
「君ホント無口だよな。『うん』くらいしか喋んなくね」
メニューが大きすぎて冥の顔が全く見えないが、恐らく声色的にご機嫌なんだろう。子供は単純なのか面倒なのかよく分からない。実際自分も腹が空いているし、子供一人に夕飯を与えただけで破産する程貧乏ではない。
ドリンクバーに行くと、冥はコップを取って迷わずグレープソーダの場所へ向かった。「走んなよ」と注意しながら、グレープソーダの隣のコーラをコップに入れる。
「何、気に入った？」
「うん。炭酸飲めないけど、お兄ちゃんがくれたから好きになった」
「ふーん。どうしたらそれで好きになるのか分かんないけどまぁいいんじゃない。珍しく喋ったねぇ」
玄矩はハンバーグを、冥はオムライスを頼んだ。
冥が思ったよりも勢いよくオムライスを頬張るのを見るふりをしながら、玄矩は思考を巡らせていた。冥の母親の事だ。
冥の母親がいなくなったのが怪異のせいと仮定した場合。確かに二人を襲った怪異は祓った筈だが、冥の母親は呪術により操られて連れていかれたということになる。となると怪異は幻覚又は分身。更にそうなると怪異は遠距離から分身を操る事が出来る、つまりは危険度がバカみたいに跳ね上がる。
『弱いのに美味い』は、もしかするとそれが分身で、本体が強いからなのかもしれない。
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Ｒ!Ｎ(プロフ) - すんげぇ…かっこいいですね (2019年12月13日 0時) (
レス) id: 5067a2983b (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます、勿論です！ 是非描かせて頂きたいです！ (2019年10月21日 0時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - わ〜ﾂﾂフォーマルな玄矩君めっちゃかっこいいです…！優先順位は低めで大丈夫なので、暇ができましたら攸のドレスコードを描いていただけないでしょうか…？よろしくお願いします！ (2019年10月20日 23時) (レス) id: a16637a9e2 (このIDを非表示/違反報告)
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