偶然を引き寄せる【Genta.M】 (ページ49)

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④ ページ49

*

「A聞いてる？」

『...あ、ごめん、なんだった？』

今日は土曜日でいつもの様に彼は泊まりに来ていた

「ぼーっとしてたでしょ。なんか考え事？」

『んーん、ちょっと昔のこと思い出してただけだよ』

ふーん、と彼はあまり興味がなさそうにそう言うと

スマホに視線を落とした

『え、なんか用があったんじゃないの？』

私のそんな疑問に、別に？と答える彼は
出会った時から何も変わっていない

『海人はさ、なんであのタイミングで私に告白しようって思ったの？』

「んえ？なに急に」

私の突拍子もないそんな質問に
怪訝な顔をみせる彼

『だって、授業中に告白なんて、聞いたことない』

私がそう返すと
彼は少し考えたあと言ったんだ

「...なんとなく？」

『何それ』

聞いて損した

私は何となくであんなタイミングで告白されたのか

なんだかいい気はしなくて、
彼の隣から立ち上がりお風呂に向かおうとすると

「でも俺、ちゃんとAのこと好きだよ」

って。

『...何それ』

そんな彼の言葉に素直に喜んでしまう自分が悔しくて、さっきと同じ言葉を発する

「かわい、」

彼はそう呟くと

私の腕を優しく引いて、
そのまま唇を重ねた＿＿＿＿＿＿

.

「ごめん、好きな人が出来た」

.

これは、彼からそう告げられる

少し前のお話

番外編 end