�� ページ48
*
彼とは、2年生のクラスも同じだった
「ねぇねぇ、昨日のテレビ見た？」
何のイタズラか、最初の席替えで私はまた、
同じ場所で彼の前の席になった
彼はあの1回以外私の名前を呼ぶことはなくて
私も彼の名前なんて直接呼んだことがなかった
あの頃の私たちの関係ってなんだろう
ただのクラスメイトとも違う
でも、友達というほどよく話す訳でもない
私たちのコミュニケーションは授業中だけ
一応イケイケグループに所属している彼と
クラスでも目立つほうではない私が
休み時間に関わる訳もなくて。
彼への恋心に気付いていた私にとっては
とてももどかしい関係だった
.
そんな彼との関係がまた変わったのは
あまりにも突然だった
「ねぇねぇ」
その日、いつも通り私の背中を突く彼を
私はまた知らんぷりをした
もしかしたらまた名前を呼んでくれるかも、なんて
心のどこかで期待していた
だけど、彼から発せられた言葉は想像を遥かに越えた
「俺と付き合ってくんね？」
『え？！』
突拍子もないその言葉に
授業中ということも忘れ少し大きめな声が出る
「おいそこ、五月蝿いぞ」
『あ、す、すいません...』
先生から注意を受け、もう一度彼の方を向くと
彼は必死に笑いを堪えていて
『誰のせいだと思ってんの...』
「ﾌﾌッ...ごめん、可愛くてつい」
って。
『じょ、冗談辞めてよね、しかも授業中にそんな...』
私の気持ちも知らないでそんなこと
「俺、冗談なんて言ってないけど」
授業の終わりを知らせるチャイムが響く
それと同時に騒がしくなる教室
静かなのはきっと、私と彼の間だけ
真面目な顔をする彼はもう一度私に言ったんだ
「Aのことが好き。俺と付き合ってください。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 609人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きい
| 作成日時：2020年4月25日 20時
