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「『いただきまーす』」
元太と付き合うようになってから数ヶ月
一人暮らしの私たちはお互いの家をよく行き来していて、週末はほとんどお泊まりをするようになっていた
今日は私の家に元太が来ていて、
はっきり今日泊まる、という約束はしていないけど
きっと泊まっていくんだろう
「ん〜、うまいっ!」
『ホント元太ってなんでも美味しそうに食べるよね』
俺、Aの料理ならなんでも好きだから!
なんて、彼はいつもの様にそんな言葉を恥ずかしげもなく言ってのける
『...ホント、元太ってずるい』
.
.
その後片付けは元太も手伝ってくれて
ソファで2人でくつろぎながらテレビを見たり
今日あった出来事を話したり
何気ない時間を過ごした
そしていつものように同じベッドに入ると
「俺さ、ホントはAにまた会いたくてこっちに戻ってきたの」
『え?』
何の前触れもなく
元太がそんなことを言う
思わず元太の方に顔を向けると
「地元が好きだから戻ってきたっていうのも、
まぁ、嘘ではないんだけどね」
そう言うと元太も私の方に顔を向け、
ちょっと照れたように言った
「もしかしたら、Aにまた会えるかもって。」
私が地元に進学する保証なんてどこにもなかったはずなのに
「やっぱ俺、考えるより前に動くタイプだからさ?」
って。
___そうか
"偶然" だと思っていたあの日の再会は
彼によって引き寄せられた
必然的な "偶然" だったんだ
.
.
『...じゃあ、私たちがこうしてまた再会出来たのは
元太のおかげだね』
私がそういうと、元太は
感謝してよね〜?なんて言いながら
私の体を優しく包んだ___
"偶然を引き寄せる"
end
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作者名:きい | 作成日時:2020年4月25日 20時