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そのあとは、お互い核心に触れることもなく
テレビを見ながらゆっくりご飯を食べた
ふと時計を見ると終電が着々と迫っていた
"待っていてほしい" と言ったのは私なわけで
ちゃんと今日の出来事を元太に言わなくちゃと思っていたけど
なかなか本題を切り出せずにいた
だけど、このまま帰ってしまったら
ここに来た意味が何も無い
『...元太、私伝えたいことがある。』
一緒に見ていたドラマのエンディングが流れ終わる頃
私はやっと元太に声をかけた
「うん。」
私の言葉を聞いた彼は、
リラックスしていた体勢を少し正し
いつもの優しい顔で私の方を向いた
『今日、海人にちゃんと思い伝えてきた。』
『全部、元太のおかげ』
ありがとう。
そう言うと元太は俺はなんもしてないよ!って
あぁ、そういう所、やっぱり好きだなって
元太はちゃんと伝えてくれたから
今日は私が想いを伝える番だ。
『私も、元太のことが好き。』
今も。昔も。
「ホント、夢見てるみたい...」
そう言うと机を挟んで向かいに座っていた元太は
こちらまで来てギュッと抱き締めてくれた
「俺と、付き合ってください」
『よろしくお願いします』
私の初恋が数年の時を経て
実った瞬間だった
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作者名:きい | 作成日時:2020年4月25日 20時