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食べ物も少しずつ届いて
私は元太との会話を楽しんでいた
「それで海斗がさ!ペーパーのくせに運転することになっちゃって!」
度々話に出てくる "カイト" というワードにも
さすがに慣れてきて
今日の朝の出来事を忘れられるなら
家もすぐそこだし、
多少飲みすぎてもいいかな、なんて思って
忘れる必要ないというカナの言葉を無視して
いつもより早いペースで飲んでいた
その時
「すいません!ピーチウーロンください!」
おかわりを頼む元太の声が響く
.
"ピーチウーロンおかわりで!"
.
いつも居酒屋に行くと海人が頼んでいたそれ
思わず元太の顔を見ると不思議そうな顔で
どうしたの?と聞かれて
『...あ、いや、意外と可愛いのも飲むんだなぁって思っただけだよ』
なんて回らない頭で必死に誤魔化す
「...あー、だってAが潰れたらまた介抱しなきゃでしょ?」
って笑う元太を見て
なんとか誤魔化せたかなと安堵する
だけど、1度思い出してしまったそれは簡単には消えなくて
でもそれを、元太には悟られたくなくて
お酒で流そうと
グラスに手をかけた瞬間
ギュッ、と手首を元太に掴まれた
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作者名:きい | 作成日時:2020年4月25日 20時