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思っていたよりも何倍も、むしろ1ミリも思い浮かばなかったぐらい明るい口調で笑って話せる自分に、自分自身が驚いた。

辛くないと言えば嘘になるけれど、然程心苦しくもなくて……そんな私の雰囲気に茉衣さんは、



「でも吹っ切れてるみたいに見える」



はっきりそう告げる。




「私も今、さらっと喋ってて自分でびっくりしました」

「ね、それって最近の話?」

「えーと……4月末なので、2ヶ月ちょっと前ですね」



口に出してみて、そういえばもう7月に入ったんだ、と今さら思えてきた。

太陽くんに彼女ができて、拓弥さんと出逢って、茉衣さんや祐基さんとお昼を共にするようになって、2ヶ月。

早いと思えば早いし、遅いと思えばそんな気もしてくる。



「……パンケーキ食べに行った日、覚えてますか?茉衣さんが放課後私を迎えに来てくれたの」

「うん、覚えてる」

「茉衣さんが来る前に、初めて太陽くんが彼女と歩いてるところを見たんです。それでちょっと落ち込んで」

「あ〜!それでかぁ。様子違うなとは思ってたけど」

「実はそういうことでした」

「……やっぱり、そのときと比べてみても吹っ切れたように見えるわ。立ち直った感じがする」



にこりと笑って改めて言い、ミルクティーを飲む茉衣さんをぼんやり見つめて、私はフルーツタルトのかけらを食べはじめた。




「失恋の傷の癒し方、知ってる?前に進むには新しい恋、らしいよ」



不意に拓弥さんの言葉を思い出す。

前に進む方法は新しい恋以外にももちろんあると思うし、私の傷が癒えているんだとしたら、先輩たちと過ごした時間のお陰だと思う。



……拓弥さんは、どうなんだろう。

この間、まだ失恋したままと言っていたのは、傷心中って解釈が正しい?



茉衣さんや祐基さんは、拓弥さんに好きな人がいることやその人に失恋したことを知っているんだろうか。

間柄的に私より早い段階で本人から話を聞いていたかもしれない。


仮に知っているとして、その後の拓弥さんの様子はふたりの目にはどう映っているんだろう。



私には、初対面のときからドライに、傷ついてもなさそうに「失恋した」だなんて言える人だったから……吹っ切れているのか分かりづらい。

というか正直全く分からない。



茉衣さんに聞きたい気持ちは山々だったけれど、そもそも知らなかった場合私の口から知ることになるのはどうかと思ってやめた。





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設定タグ:超特急 , タクヤ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ハナコ | 作成日時:2016年5月2日 23時

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