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それはなんとなく共感できた。
太陽くんと同じクラスだったら、今がどうであれ、初めは私も太陽くんと一緒に居ると思うから。
「人見知りってわけでもないけど、なんか……安心感?かな?友達の幅広げなくてもいいかなって思ってた」
茉衣さんは少し間を空けてから「最初はね」と付け足して苦笑いを浮かべた。
「そのうち祐基が草川と仲良くなって、結果私ら3人でお昼とか食べるようになったの」
「そう、だったんですね」
「うん。去年も3人とも同じクラスだったんだ」
拓弥さんと修学旅行の前日に電話をしたとき、いつか聞こうと思っていた、私が知らない3人の話。
「仲良い女友達っていうのがいなかったんだよね。作ろうとしなかったのもあるけど」
また苦笑いする茉衣さんに、私もまた共感した。
私は太陽くんと違うクラスだから境遇は違うけれど、クラスメイトの女子の中に特に仲良いと言える人はいなくて……今なら学校で1番仲良い同性は、私にとって茉衣さんになる。
「でもやっぱりさあ、女友達と恋バナしたいじゃん。だからAちゃんとできるかなって思ってたの」
だから拓弥さんのことを訊いたんだ、と私は納得した。
茉衣さんはそれを拓弥さんと話すって選択肢も無きにしも非ずだったんだろうし、何より拓弥さんは私よりもっと茉衣さんと祐基さんを見ているわけだから、きっと何か察していたと思うけれど。
それでも異性と同性じゃだいぶ違う。
数回頷いてから「あ」と思い出したように口を開き、
「茉衣さんって祐基さんのこと好きですよね?」
私も気になっていたことを吐き出した。
目を丸くして口を結んだままぱちぱちと瞬きする茉衣さんの反応は、もう認めているようなもので、ふっと笑みが零れる私に「なんで分かったの!?」と頬を赤らめる。
「ていうか私も恋バナしたいです、茉衣さんと」
「それは嬉しいけど、私の話聞いてもらうだけになるんじゃ……」
「あ、その、……好きな人、います。私」
不安げな表情の茉衣さんに私は尻すぼみになりながら答えた。
一瞬フリーズしたあと再度不安げになった茉衣さんは「祐基?」と的外れな見解を見出し、私が首を横に振ると安堵する。
「隣のクラスの人です。中学のときから好きで、最近失恋しました」
「えっ、失恋したの?」
「そうなんですよ〜。太陽くん、あ、太陽くんって言うんですけど、彼女できちゃって」
「そっかぁ……」
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作者名:ハナコ | 作成日時:2016年5月2日 23時