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球技大会はあっという間にやってきた。
６月も残すところあと少し。
梅雨も明けて、太陽が照りつける今日は半袖の体操着を着ている人が多い。
私はバレー、拓弥さんと祐基さんはサッカー、茉衣さんと柊生くんは補欠に決まったらしい。
補欠は言わば見学のようなもので、先輩たち曰く借り出されなければ応援係。
拓弥さんからは昨夜《無理しない程度によろしく》という文章と共にお弁当の絵文字が送られてきて、そのメッセージに口元を緩めながら《了解です》と返した。
自分ひとりのお弁当を作っていたときより早起きをして先輩たちの分も作る私は、相当浮かれていたと思う。
「A！ちょうどよかった、外行くよな？一緒に行こう」
自分のクラスの応援を終えて体育館を出ると、少し先から柊生くんが駆け寄ってきてそう笑った。
午前中最後にグラウンドで行われるサッカーの試合に、拓弥さんと祐基さんが出る。
柊生くんと並んでグラウンドに出るともう試合が始まっていて、そこは女の子たちの黄色い歓声に包まれていた。
「盛り上がってんな〜。こっからでも見えるけど、どうする？前行く？」
「ううん、ここから見よ。前行ったら押し潰されそう」
「確かに、逆に見えにくくなりそうだな」
それなりに距離はあるものの今居る場所からでも充分よく見えて、柊生くんと並んで観戦を始める。
「お！今ボール蹴ったの祐基じゃん」
「あ。向こうで走ってるの拓弥さんだ」
私たちが出ているふたりを見つけるのは早かった。
そういえば柊生くんは、拓弥さん経由で祐基さんと茉衣さんとも仲良しらしい。
年齢関係なく仲良くなれることは羨ましく思えたけれど、よくよく考えたら私もそうなっているような気がした。
試合が進んでいくと徐々にグラウンドに観客が増えてきて、周りにもちらほら人が集まってくる。
「柊生ぃ〜！」
「え!?」
「えっなに……、」
突然聞こえた柊生くんを呼ぶ声に私も柊生くんもびくっと肩を上げた。
ふたりして振り返ると柊生くんのクラスメイトらしき人が汗を光らせながら駆け寄ってきて、
「やっと見つけた！バスケの補欠出て！」
柊生くんの目の前で立ち止まり両手を合わせる。
びっくりしたのは私だけじゃないようで、むしろ私より柊生くんの方が驚いたみたいで、瞬きしながら「マジかよ」と呟いた。
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作者名：ハナコ
| 作成日時：2016年5月2日 23時
