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パンケーキは１人前でもそれなりに量があって満腹感が凄まじかったけど、茉衣さんだけは「もう１枚いける」を連呼していた。
授業をサボってまでネット予約したぐらいだから、よっぽどスイーツが好きなんだ。
「次はあれ食べたい」
レジで順番に会計してもらっている途中、私の隣に並んだ拓弥さんがぽつりと零す。
指差したポスターに目をやると、そこには″特大サイズ″とか″食べ切れたら景品″とか書かれている特別メニュー。
明らかにフードファイターしか頼まない。
「あれは絶対入りきらないですよ」
「まあね。冗談冗談」
「んーでも茉衣さんならもしかしたら……」
「待って、俺も今同じこと思った」
おかしそうに笑う拓弥さんに釣られて、というか本当に茉衣さんならぺろりと平らげそうで、私も笑った。
「学校に自転車置きっぱなしだから、俺ら戻るね」
お店を出ると祐基さんがそう言って学校の方を指差す。
拓弥さんは初めて会った日私と駅まで一緒だったから、「俺ら」が示すメンバーは祐基さんと茉衣さんなんだろう。
「茉衣、今日予約取ってくれてありがと」
「あっ、私も誘ってくれて、ありがとうございました」
拓弥さんの声に続いて私も茉衣さんにお礼を言う。
「いやいや！ほぼ自分のためだし。また美味しいとこ行こうね〜」
目尻を下げて笑った茉衣さんは、「また明日」と手を振って祐基さんと学校に戻っていった。
「あいつら同じマンションなんだよ」
仲睦まじいふたりの背中を見送る私にそう教えて踵を返し、駅に向かって歩き出す拓弥さん。
私も駆け寄って隣に並び、「そうなんですね」と相槌を打つ。
……同じマンション、か。
祐基さんと茉衣さんは幼馴染ってことかな。
私も太陽くんとは家が近くて仲良くなった。
中学校なんてそりゃ家が近い校区の人しか来ないんだけど、クラスの中でも１番のご近所さんだった。
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作者名：ハナコ
| 作成日時：2016年5月2日 23時
