空柱の隠 ページ7
落ち着いた頃合いを見たのか、千寿郎くんの声がした
千寿郎
「どうぞ」
『ありがとう。千寿郎くんは私のこの姿を見て驚かないの?』
千寿郎
「驚きました。けど、怪我をされてたのでそれどころじゃなかったというか…」
『そうだったのね』
煉獄
「俺は任務へ向かう。A、くれぐれも安静に」
『わかってますよ。煉獄さんこそ、お気をつけて』
赤い羽織りを翻して歩いて行く
その後ろ姿はとてもかっこよかった
千寿郎
「さっき、少し聞こえたんですけど…烏天狗って妖怪ですよね?」
『そうだね。先祖が恋に落ちたとか。私も初めて自分の翼を見た時はびっくりしたんだよ。嫌で嫌で折ったり切り落とそうとしたけど、神経通ってて物凄く痛かった』
千寿郎
「空飛べるんですか?」
『うん。だから空柱なの』
千寿郎
「凄いですね!」
『す、凄いのかはわからないけど…お茶ありがとう。美味しかったよ』
千寿郎
「良かったです。ん?誰か来たような…ちょっと見てきますね」
千寿郎くんが見に行って戻ってくると、さっき私を手当してくれた隠が見えた
隠
「…お身体の具合は大丈夫ですか?」
『大丈夫。手当してくれてありがとう』
この隠は私の屋敷で住み込みで身の回りの事をやってくれた人
もちろんこの翼のことも知ってる
『急に屋敷を空けてごめんなさい。私は鬼殺隊を離れたの。あの屋敷に戻るつもりもない』
隠
「わかりました。ですが、何かあれば直ぐに私を呼んでください」
『ありがとう。それで、ここに来たのは?』
隠
「こちらを」
差し出されたのは、真新しい羽織り
「袴の上から着るといい。煉獄杏寿郎」と手紙まで添えられていた
紺の羽織で翼の色と似ている
見えにくいものを選んでくれたんだ
隠
「こちらに置いておきましょうか?」
『ありがとう。あなたには迷惑ばかり…』
隠
「違います。私はA様にこの命を助けていただいた時から、お仕えしたいと心に決めこうやって隠になったのです。迷惑などどんどん掛けてもらって構いません!」
『ふふっ。身体に気をつけてね』
隠
「ありがとうございます。では私はこれで失礼します」
屋敷から出ていく隠を見送る
千寿郎
「とてもいい隠の方ですね」
『えぇ』
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作者名:ミライ | 作成日時:2022年8月30日 1時