伝う涙 ページ6
『で、でも…』
煉獄
「いいから。父上と千寿郎が来るかもしれないがな。Aを運んできた時、千寿郎がテキパキと布団を敷いてくれたり準備してくれてたんだ」
『そう…なんですか』
煉獄
「なら、言い方を変えよう。怪我が治るまで屋敷にいるといい」
『…わ、わかりました』
そんな話をしていると
襖の向こうから
「兄上、よろしいでしょうか」と聞こえてきた
入ってきたのは千寿郎だった
起き上がっているAの背中から生えている翼に少し驚くものの
「気づかれて良かったです」とほっとした表情でそう言った
『あ、千寿郎くん。布団ありがとう。煉獄さんから聞いたよ』
千寿郎
「いえ。無事でよかったです。今お茶をお持ちしますね」
千寿郎がお茶を用意しに行った
煉獄
「しかし…初めて見た時は驚いた」
『これですよね。話してませんでしたし…話す必要も無いかなって』
煉獄
「少し触ってもいいか?」
『大丈夫ですよ』
さわさわする
触り心地がとてもいい
『怪我が治ったら屋敷を出ますね。いつまでも居候するのは迷惑だと思いますし』
煉獄
「泊まるところはあるのか?」
『野宿でも私は全然大丈夫です。藤の花の家があれば泊まろうかと』
煉獄
「そうか…」
『恋するってこんなにも苦しいんですね。初めて好きだと言ってくれた相手にあんなふうに裏切られて。凄く胸が痛いんです。相手の人は私よりも綺麗で可愛くて…不死川さんに相応しいなって…』
煉獄
「……」
『やっぱり人を好きになるなんて無理だったんですよ。結局お遊びだったのかなって。なんか悲しいっていうか、ショックというか…涙も出てこなくて……っ…』
そういうAの目から、1粒の涙がつーっと頬を伝った
本当は思いっきり泣きたいんだろう?
涙は次々と頬を伝ってく
煉獄
「A」
『…えっ……わっ…れ、煉獄さん?』
優しくAを抱きしめた
煉獄
「泣くのを我慢するな。泣きたい時に思いっきり泣け。な?」
『……っ…』
せめて寄り添ってあげたい
俺がそばにいる
だから、暫くこのままで…
煉獄
「(怪我が治ってもずっと屋敷にいて欲しいと言えたら…)」
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作者名:ミライ | 作成日時:2022年8月30日 1時