声は届かなくても、想いは届く。絶対に…〈フィッシャーズ〉 (ページ25)

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真っ暗ページ25

学校帰り、俺らの前を子猫が車道へ飛び出していったのを見た

あっ！と思った瞬間…Aが俺のもとから離れ、子猫を助けに行った

ｼﾙｸ「A！」

猛スピードでトラックが走ってきた

頼む…俺の声！届いてくれ！早く！

俺の思いを弾き飛ばすように…トラックはAめがけて突っ込んだ…

頭の中が全く整理できない…何が起こった？何…が？

周りのはその状況を見ていた人たちがざわざわしていて、道路には…

数メートル飛ばされて、道路脇に倒れている…Aが…

ｼﾙｸ「A？！おい！A！しっかりしろ！」

何度呼んでも全く反応しない…

「君！今、救急車呼んだからな！」

抱き上げたAの腕の中には小さい子猫…助けられたのか

腕から出て、どこかへ走っていく子猫…

俺は、その子猫がAに一瞬見えた…どこかへ行ってしまうんじゃないかって…

その瞬間、とてつもない恐怖と不安が俺を襲った

救急車が到着し、運ばれていくA…俺は付き添いで乗った

車内は慌ただしく…どうすることもできない俺はただ…Aの手を握っていた

病院に着き、治療室へ運ばれていった

俺はお母さんに電話をかけた

母「もしもし？あっ、シルク君？どうしたの？」

ｼﾙｸ「Aが事故にあって…い、今、病院に…います。～～病院です…」

母「すぐに行くわ。」

１５分後、Aのお母さんが来た

母「さっき、先生にあって聞いたわ。トラックにぶつかったって…」

ｼﾙｸ「飛び出した子猫を助けようとしたんです…俺が代わりに行ってれば…」

糸が切れたように、おさえようとしてた涙があとからあとから、溢れてきた

母「シルク君。代わっていたらってそんなこと言わないで。Aはきっと大丈夫。私の子だもの、絶対に大丈夫。」

病室へ行くと、静かに眠っているA

先生曰く、両足と肋骨２本の骨折らしい…

母「頭とかには何も問題なくて良かったわ。」

頬に触れ髪を撫でると、薄っすらとAが目を開けた

母「A。わかる？」

ｼﾙｸ「A…ごめん…俺…」

ふと俺の手にAの手が触れる

”大丈夫”というように笑顔で頷いた

母「シルク君。送っていくわ。もう暗いし。」

ｼﾙｸ「お言葉に甘えさせてもらいます。じゃあな、A。明日も帰りにくるから。」

病室を後にし、お母さんに送ってもらった。