普段無口なのに酔うと歌う変な友達/黒 ページ21
いつからだろうか
居酒屋で何杯か飲んだ後、カラオケに行くのが私たちの中でのお決まりになっていた。
「ありがとうございました〜！！」
「ごちそうさまです」
背後で響く店員さんの声。
店員さんに軽く会釈する礼儀正しいところとか、
いつの間にかお会計を済ませているところとか、ほんと、ズルい。
「ねえ、北斗、お会計いくらだった？」
「5千円」
「はい、私のぶん」
「Aは2千円でいいよ」
3千円渡したら、千円札1枚をむりやり返された。
私が奢られるのをいつも嫌がるからお金を受け取ってくれるけど、結局北斗はいつも多く払ってくれる。
こういうことをさり気なくしちゃうがモテるんだと思う。
しかも、“やってあげた感”を出してこないところが更に好感度を爆上がりさせる。
ふたり肩を並べて歩く夜道
次どこに行くかなんて会話をしなくても、私たちの足は近くのカラオケ店へと向かっていた。
酔っているからか、流行りの歌を口ずさむ北斗。
目元にかかる髪のせいで表情は見えないけど、ご機嫌みたい。
「その歌、流行ってるよね」
「うん、カラオケで絶対歌うって決めてる」
「ふふ、そうなんだ」
「なあに笑ってんだよ」
ふと、北斗の横顔を見上げると、喉元のあたりに、きめの細かい白肌が見える。
それが妙に色っぽくて、思わず、吸い込まれるように見入ってしまった。
週末だから店内は混み合っているようで、少し狭い部屋に案内された。
部屋に入るなりデンモクを操作して曲を選び始める北斗。
隣に座ったのは初めてだった。
花束のような香水の匂いが、刺すように鼻孔を衝く。
低く、耳障りの良い声で歌いあげる北斗。
本当は動画を撮って友達に自慢したいけど、
動画を撮ると怒られちゃうから、テレビ画面を見つめながら北斗の歌声に浸る。
狭い部屋に北斗の美声が響く。
たまに触れる指先にドキドキしてしまうのを必死に隠し続けた。
モテるくせに、私の気持ちに気づかない、鈍感な友達。
君がさっき歌ったラブソングにも
たまに目が合うと優しく微笑むことも、深い意味なんてないのだろう。
普段無口なくせに酔うと歌う変な友達
-fin
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みんと - 返信遅くてごめんなさい。いいんですか！？ぜひお願いします！ (2020年12月5日 17時) (
レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
代(プロフ) - みんとさん» ありがたいお言葉…！リクエストに応えられるように、頑張ってみますね！！ (2020年11月14日 2時) (レス) id: 3ccff9efc5 (このIDを非表示/違反報告)
みんと - 返信ありがとうございます！(遅くなってごめんなさい)私こういう系のお話すごい好きで、もしよろしければ失恋した後のお話とかも読みたいです！(自分勝手にすみません) (2020年11月7日 18時) (レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
代(プロフ) - みんとさん» コメントありがとうございます！更新頻度遅めですが、頑張るので温かく見守っていただけると嬉しいです（；；） (2020年11月3日 23時) (レス) id: f187c48244 (このIDを非表示/違反報告)
みんと - 更新頑張ってください！ (2020年11月1日 18時) (レス) id: 117f5f4d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：代 | 作成日時：2020年10月12日 4時
