君に溺れて2【黄】 (ページ4)

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40.素っ気ないページ4

何事もなかったかのように、
まるで清廉潔白な人物を装うかのように
日々を過ごして、気付けば3月に入った。

3月は別れの季節

4年間うちの店でキャッチをしていてくれた人が
就職のために辞めることになった。

今日シフトに入っている人で
その人を送り出すことになって、

営業後、座敷の席に料理とお酒を並べ
お別れ会と言う名の飲み会を開いた。

翌日は月曜日だから
学校がある人はパラパラと帰って
月曜が全休の私と亮くんと、村上さんが残った。

そして食器を片付けて
4人で向かったのは近所のダーツバー。

キャッチのひととは普段あまり関わりがないから
人見知りの私は緊張しちゃって、
お酒を飲みながらいつも少し遠くを見つめていた。

「Aちゃんライン交換しようよ～」

酔っているのか、そういうノリなのか
やたらと腰に手を回してきて
距離が近い。

なんだか気持ちが悪い。

村上さんは既に泥酔していて
ダーツの矢は的に当たらなくなっている

ちらりと亮くんのほうへ目を向けると
さり気なく目を逸らされてしまった。

店を出て、この後、亮くんと…
なんて淡い期待を寄せていたけれど

「じゃあ俺、村上さん送って行くから」

「うん…」

なんだか素っ気なくて
冷たくて目を合わせてさえくれなくて。

「そんなに離れて歩かなくても、なにもしないって笑」

「いや別に、そんなわけじゃ…」

「嫌な思いさせたらごめんね」

じゃあねっ、って私の頭を軽く撫でて
そのひとは帰っていった。

亮くんがよかった。

優しくされるのも、触れられるのも
亮くんがよかったんだ。