Episode10 ページ12
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『………隈酷そう』
結局一睡もできず。鏡を見ようとするが、見たら余計に元気が出ない気がして結局見ず。本当に眠たい。
とりあえず寝たい。
けど眠れなかったのは自分の自業自得なんだけれども。こんな顔してたら余計何か、言われるかな。
そう思いながら食堂に向かっていると
「滝沢さん」
と私を呼び止める声が聞こえた。まるで、鈴のような優しげな声。振り向くとそこには、警察学校の同期の中で1.2を争うぐらいのモテ女である花咲莉音さんがいた。
『………えっと、花咲さんだよね?どうした?』
「あっ………急に呼び止めてごめんね?私滝沢さんとね、話がしたいというか、お友達になりたくて………」
え、こんな美人の女の子が?こんな私を?え、本当に?まじまじと花咲さんを見るが、嘘を言っているように見えない。え、まじで????
『え、でもどうして私と?』
「私昨日の滝沢さんを見てたの。食堂で松田くんを怒鳴ってる滝沢さんを」
あれをこんな可愛い子に見られていたなんて………。なんて恥だ。恥ずかしい。
『あっ、昨日の見てたんだ。なんか恥ずかしいもの見せてごめんね?』
「いや、全然だよ!逆にあれを見て滝沢さんのことかっこいいって思ったの」
かっこいい?あれが?
「……あんなに堂々と周りの視線を気にせずに、自分の気持ちを伝えられちゃう滝沢さん見てたら、かっこいいなって思って。……私ね、滝沢さん見てたら勇気が湧いてきたんだ」
こんなふうに言われるとさすがに照れる。花咲さん可愛い。うん。
『でも、勇気って?何かあったの?』
「あ、うん。滝沢さんの班のね、あるメンバーのことが好きなの」
私の班の中で好きな人がいる。ということは、降谷くん、松田くん、諸伏くん、萩原くん、伊達くんのどれかってことか。
「ずっと、好きだったんだけど、勇気がなくて、言えなくて。でも、滝沢さんが勇気出して言ってるの見たら私頑張りたいと思って。だから滝沢さんにはその恋を応援して欲しいの」
『………応援』
「うん、滝沢さんとならできるはずなの。………ダメかな?」
と首を傾げながら聞いてくる。私は、私は………
『ごめんなさい、無理です。』
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作者名:かげね。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月20日 18時