14、体温計 ページ14
K「お、来てたのか。」
相変わらず数日毎の保健室登校は続いていて、頭が痛いと言ってベッドに就いたり、気紛れに授業を受けに行ったりしながら過ごしている。
今朝は、朝の職員会議を終えて帰ると、珍しく既に保健室の前に藤ヶ谷はいた。
廊下の壁にダルそうに背中を預け、地べたに座って膝に顔を伏せていた。
K「こんなトコで寝るなよ。
風邪引くぞ。」
F「あ、やっと来た。」
K「今日は早いな。
まあ入れよ。」
施錠されていた鍵を開けて招き入れる。
K「何時から、廊下で待ってたんだ?」
F「部活の朝練のヤツらが登校出来る時間に、来た。」
K「朝練の登校時間て……
ここに1時間半もいたって事?」
F「うん。」
K「何でだよ。
保健室は職員会議が終わってから俺がここに来るまで、施錠されてるって知ってんだろ?」
……あ……まさか……
K「昨日は家に帰ってないのか?」
F「・・・・」
藤ヶ谷の身体がぐらりと傾いたかと思うと、ゆっくり崩れ落ちていく。
K「お、おいっ、大丈夫かよ!」
俺は反射的に受け止めた。
K「取り敢えず横になれ。」
藤ヶ谷の身体は、制服越しでも熱かった。
発熱してるのか。
それなのに、早朝から廊下で1時間半も。
北側で、日がな窓からの日射しが無いこの場所は、まだ朝は寒いくらいだ。
藤ヶ谷の体重を肩で支えながらベッドサイドまで辿り着き、掛け布団を除けた。
頭痛持ちである事を慮り、藤ヶ谷を壊れ物のように扱う。
しかし、ゆっくりと横たえてやった後は、振り払うように身体を離した。
雑念も頭から振り払った。
ともすれば、踏み外しちゃいけない方向に踏み外してしまいそうになるのを、意識的に軌道修正する。
K「体温、計らなきゃな。」
布団をかけてやり、踵を返そうとした俺の手首を、藤ヶ谷がぎゅっと掴んだ。
K「・・・・?」
620人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kyumapi(プロフ) - まいまいさん» コメありがとうございます! 他の生徒の手当てする先生をカーテンの陰からジットリ見てるたいぴちゃんが、自分的には気に入っています。先生が好きなあまり、だいぶキモカワ輔状態で(笑) リアルでも無言でそんな視線を投げかけてたら…妄想だけで白飯100杯イケますね。 (2020年9月9日 22時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - こんにちは!!凄く素敵なお話でした!!先生〜、優しいですぅ…こんな先生がいたら好きになっちゃいますよね!!いつもFさんを見守ってくれているKi先生、最高でした!!!本当にありがとうございます♪ (2020年9月9日 13時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - まちゅみさん» コメありがとうございます! ピンポイントで拾って頂いて嬉しく思います。細かい所まで読んで下さってるんだなぁって。北山先生を独り占めしたい太ちゃんが伝わりますように。この後もお付き合い宜しくお願い致します。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
まちゅみ(プロフ) - 「保健室も北山先生も、俺の貸し切り状態だ。」のセリフがとっても好きです!! (2020年6月13日 23時) (レス) id: 3adf70ee92 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - みちこさん» おおお!あの伝説の尊い表紙のデュエットでしょうか。私も持っております。あの時代の太ちゃんをどうぞ御想像下さい。北山先生は「大人の余裕」を見せるのか、太ちゃんはどんなトラップを仕掛けてくるのか、どうぞお楽しみに。 (2020年6月8日 19時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kyumapi | 作成日時:2020年6月4日 21時