先生！早く原稿上げて下さい！(土下座する勢い)

38、ミック ページ38

　
　
　
ホワイトデーが過ぎて数日。



先月のバレンタインタインデーと同じく、今月も14日に先生を訪ねてはいかなかった。



中途半端に〆切よりも早く来ないくれと、渉さんに言われてるからだ。



バレンタインには、ファンから編集部に届いたダンボール数箱分のチョコを届けるのにいっぱいいっぱいで、先生に俺個人から(というテイの)チョコをあげなかったという、失態を呈した。



ホワイトデーに同じミスはしない。



先生宅へ来る途中でデパートに寄った。



何を買ったら、先生は喜ぶだろう。



月刊Camellia3月号のの連載ページは、ホワイトデー特集だった。



色取り取りのマシュマロ……何ちゃらギモだっけ？ ギモ何ちゃらだっけ？……を愛おしそうに摘んでる先生が載ってた。



玉森くんの差し入れだったな。



あれ以上に先生を破顔させるスイーツを選ばなきゃ。



月刊グローイングの沽券にもかかわるってもんだよ。



となると、ん〜……やっぱアレかな。



奇をてらってヤラカすリスクは避けたい。



俺は、ミックモックが一番無難だと判断した。



呉「サーセン、シガレッタの青い缶の一番デカいヤツ、下さい。」



店「領収書は御入用ですか？」



呉「はい、『千動社』で。」



店「かしこまりました。」



コレは定番中の定番だが、先生の大好物。



クッキー生地をクルクルと葉巻きのように巻いて焼いた物だ。



テンション爆上げの先生の顔が浮かんだ。



呉「あ……」



「カツブシ団子バカ一代」は、先生が食い意地を張ったせいで足りなくなったよな。



呉「やっぱりもう一つ追加で。

こっちも領収書『千動社』でお願いします。」



どうせ領収書だし、ここはケチケチせず大盤振る舞いだ。



店「領収書1枚におまとめしましょうか？」



呉「別に構いませんよ、2枚でも。」



店「ありがとうございます。」

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