ジェラスな二人の短編集：12/12完結の最新作「ジェラスな黒ヒョウは『彼の妻です！』」

ジェラスな黒ヒョウは『彼の妻です！』(1) ページ46

　
　
※短編四本とトップページで
最初に申し上げましたが、
トータル五本となりました。



KF以外の登場人物：無し

モチーフ:
舞台「ドン・ジュアン 」
某テレビ誌のインタビュー記事

総F目線









俺になりすませるとしたら？



『キスしまくる！』

『(ドン・ジュアンの)モテる感じを
体感したい。』

『路上で突然歌い出す。』

とあるテレビ誌の取材で

北山はそう言った。



何ソレ。



俺がキスしまくる女性達に対して、

北山は1ミリも嫉妬する素振りを

見せなかったのに？



……て事は、北山が嫉妬してんのは

ドン・ジュアンのキスのお相手の

女性達ではなく、

キスしまくりのドン・ジュアンを

演じた俺に嫉妬してるって事？



あれはあくまでも役だよ。



俺がキスしまくってるんじゃない。



演技でしてんの。



だから、俺になりすまして

現実でキスし放題になれると思ったら

大間違いだ。



街中で北山がそこらじゅうの女性、

いや男女問わず嬉しそうに

キスしまくるシーンを

想像してみたら……



F「うぅ……」



これは無理無理無理。



想像しなきゃ良かった。



胸が痛い。



そんなに、沢山の相手と

キスしまくりたい？



そんなにモテたいの？



ん？ 何だろ、ニュアンス的に

これは聞き覚えがあるぞ。



あぁ、思い出した。



自称妻のエルヴィラのセリフに

似ている。



本当のセリフは

『女達を抱くのがそんなに好き？』

……だったかな。



変なの。



俺になりすましてモテたい北山と、

モテたい北山に文句タレる俺。



嫉妬してるのは俺の方だった。









俺はバーカウンターに座り、

酒を飲んでいる。



F「マスター！

テキーラ、もうワンショット！」



お一人様でバーカウンターに

いるのも、テキーラなんて強い酒を

ショットグラスで飲むのも、

全く俺らしくない。



しかも、何杯飲んでも酔えなかった。

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