ツインタワーの狭間に見る色

33、証拠の無いカクシゴト KF ページ34

　
　
　
宏「じゃ、行くわ。」



圭「・・・」



放心してベッドに突っ伏したまま。



電気を点けると、やっぱり恥ずかしそうに布団に潜り込んだ。



宏「非番でもいつ一斉招集かかるかわかんねえんだから、ちゃんと仕事用のガラケー枕元に置いとけよ。」



圭「ん、ああ……」



また微睡みかけてる藤ヶ谷が心配になって、一応声をかけてから出てきた。



案の定その日は召集されて……



藤ヶ谷はシャキッとした顔で登庁してきた。



良かった。



俺が出てきた時には眠たそうだったけど、ちゃんと起きれたんだな。



俺がどんなにズタボロに愛した後だって、藤ヶ谷が寝飛ばすなんてありえない。









数日後、珍しく退庁のタイミングが一緒だった。



当たり前のように藤ヶ谷の家に来て飯を食う。



宏「いつも美味いな、ここで食う夜食は。

太ったら藤ヶ谷のせいだぞー」



手を伸ばして綺麗な鼻先を小突くと、クシャクシャと笑う。



勤務中には見せない笑顔はどれも、胸にキュンとくる。



洗いっぱなしで前髪が降りてるから、一瞬勇輔が可愛気のある表情をしたかにも見えて、戸惑う。



鼻をつついたついでに前髪を掻き上げてやると、圭輔が現れた。



俺に弄られてる間、藤ヶ谷は素直に目を瞑って顔を背けもせず、俺の手が飽きて離れていくのを静かに待っている飼い犬みたいだった。



はあ〜やっぱり藤ヶ谷は可愛い。



勇輔の悪そうな笑みも好きだから、どっちか選べと言われても困る。



別に選ばなくてもイイ。



両方好きでいたらイイ。



藤ヶ谷を抱く「北山さん」な俺も、勇輔に抱かれる「宏光」な俺も両方楽しんだらイイ。



バレなけりゃ構わないんだよ。



ホラ、世の中のデキた奥さんは「浮気しても良いけど私にバレないように賢くやって。」と言うじゃないか。



気付かない限り既成事実にもならない。



証拠が無ければ、クロもシロ。

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