ツインタワーの狭間に見る色

20、俺の堕ち方 KF ページ21

　
　
　
色んな感情が溢れた藤ヶ谷は、今にも泣き出すかと思った。



宏「俺だって、お前が最高のバディだと思ってた。

お前と一緒なら、どんなにキツい現場だって辛くなかったし……」



そこで俺の理性のタガが弾けて飛んだ。



藤ヶ谷の手首を掴んで、ベッドルームのドアを開ける。



双子の片割れがいやしないかと一瞬気になったが、ブレーキにはならなかった。



ベッドに藤ヶ谷を投げてから電気を点けて、俺達以外に誰もいない事を確認し、ホッとする。



確認作業が後手になったのは、やはり冷静さを欠いていたからだ。



圭「きっ……北山さんっ」



藤ヶ谷は戸惑っているようで最初は身を硬くしていたが、俺の下ですぐに力が抜けていった。



圭「本当はずっと前から気になってたんです。

バディを組んで北山さんの近くで北山さんを深く知ったら、一層……

どんどん好きになってしまって……戻れなくなって……」



宏「マジか。

こんな俺を？」



恥ずかしそうに顔を両手で覆い、蚊の鳴くような声で「ハイ」と頷いた。



藤ヶ谷の趣味は、モデル系美女でも萌え系メイドでも美魔女でもなく、チビデカちゃんな俺なのか？



あるいは、藤ヶ谷が勝手に脳内変換したキレッキレの「プロファイラー刑事(デカ)」的な俺。



ハハ……一人でアレコレ考え過ぎて、ホント馬鹿らしい。



宏「俺鈍感で……ゴメン、気付かなくて。」



藤ヶ谷がじわじわと俺に傾いてた事。



俺の堕ち方は正反対だった。



前回ここに来た時、すとーんと落とし穴に落ちたみたいに好きになったんだ。



好みや趣味なんか関係無い、強烈な印象を穿たれて。









でも……



堕ちた相手は、藤ヶ谷じゃないんだよな？



あれ？



どう処理すれば良い？



どっちでも良いか……



俺は藤ヶ谷の綺麗な背中に夢中になった。

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