眠りを売る男

6、眠りを売る男 ページ6

　
　
　
タ「邪魔者も眠ってしまったし、その方の商品のラインナップをトクと紹介してもらおう。

誠心誠意、であるぞ？」




ヒ「承知致しました。

有り難き幸せにございます。

一つ一つ試して参りましょう。

ではまず、このシルクのパジャマをお召しになって、ベッドにお入り下さい。」




タ「うむ。」




ヒ「脱いだお召し物をハンガーにお掛けしましょうね。」




タ「頼む。」




ヒ「わわっ、ス、スッポンポンにおなりですかっ」




タ「ダメだったか。」




ヒ「い、いえ、拝見するのが恐れ多かっただけで。

言わば『国民的全裸』ですからね。

民がおいそれと目にする事の無い。

眼福ではございますが、私の心の臓が早鐘のように……。」




タ「そうか？

スッポンポンはやめようか。」




ヒ「スッポンポンでしたら、最高級シルクの心地好い肌触りを『全身で余すこと無く』味わって頂けます。

非常に良いと思います！」




タ「左様か。

ではでは。」




ヒ「サイズも宜しいようで。」




タ「うむ。

一つ一つと言ったが、ブランケットとベッドマットは先にセットしてくれ。

枕も全て出せ。」




ヒ「承知致しました。」




タ「これで寝てみよう。




ヒ「お休みなさませ。」









タ「うーん、ダメだダメだ。

目が冴えた。」




ヒ「残念でございます。

オメメパッチリでいらっしゃいますねえ……。

パジャマやブランケットの肌触り、枕各種とマットの感触、お気に召しませんでしたか。

申し訳ございません。」




タ「謝るでない。

お気に召し過ぎるのだ。

お気に召し過ぎてダメなのだ。」




ヒ「とおっしゃいますと？」




タ「気持ち良くて興奮してきた。」




ヒ「それはイケマセン。」




タ「何やら淫靡な気分になる、けしからん商品である！

特にパジャマ。」




ヒ「失礼致しました。

お脱ぎになりますか？」




タ「色々お試しせねばならぬからな。

ここは惜しまず脱いでしまおう。」




ヒ「承知致しました。」

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