8、想定外にドキドキする。 side-K ページ8
俺の左肩の端に春の雨は降りかかっていて、多分藤ヶ谷の右肩は完全に雨に晒されている。
K「ワリィ。」
F「大丈夫。
まだ大した降りじゃないし。
本降りになる前に駅に着くでしょ。」
K「藤ヶ谷が風邪引いたら、一緒に俺も引くかな。」
F「ああ……懐かしいね。
そんな事もあったような……。」
K「またクシャミも、鼻啜るタイミングもシンクロするかも。
俺らシンメだからさ、アッアッアッ」
何故かわからないけど、そこから藤ヶ谷がパッタリと無口になった。
まあそこまでが、逆に普段の藤ヶ谷よりも饒舌気味ではあったが。
雨は少し強さを増しているが、まだ小雨程度。
地下鉄の駅の入り口は、信号を渡ってあと少し。
幹線が交わる交差点だから、信号待ちは長かった。
K「藤ヶ谷、お前結構濡れてねえか?」
寄り添ったのは、少しでも藤ヶ谷に傘のスペースを分けてやりたかったから。
わずか数センチで、藤ヶ谷の香りが濃くなった。
まともに吸い込んでクラリとなった。
歌ったり踊ったりしていれば、いくらでも接近するから、藤ヶ谷の香りなんか嗅ぎ慣れてるハズなのに。
ステージやスタジオで嗅ぐそれと、雨の街中で間近に嗅ぐそれとは、まるで別物に感じた。
そして……さっきふと思い出した十代の藤ヶ谷の香りとは、もっと違った。
F「・・・・」
何で黙りこくってんだよ。
何でさっきから俺はドキドキしてんだよ。
想定外の、突然の相合い傘に。
K「ふ・・・・」
9、余韻と優しい雨に立ち尽くす。 side-K→←7、傘を持つ方が沢山濡れる。 side-K
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kyumapi(プロフ) - puuさん» ありがとうございますm(__)m 春の穏やかな雨と夏の豪雨、鏡を比喩に使って二人の五年間の関係を妄想してみたのですが、如何でしたでしょうか。どのお話もエンディングが全てだと思いますのでそこをお気に召して下さったら嬉しいです。続編書けそうなら頑張ってみます。 (2017年12月7日 22時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 遅ればせながら読了しました。すてきなハッピーエンドでした!2人のその時の光景が目に浮かびました。このあと五年分を取り戻した2人もぜひ見てみたいです!! (2017年12月6日 22時) (レス) id: a8da905861 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ありがとうございます。これほどシンメのあり方に関して物議をかもすG内ペアもあまりいませんね。その分カラんだ時の沸き方は尋常じゃなく、妄想ストーリーも膨らみます。そういう意味ではやはり大きな幸せと萌えとドキドキをを藤北に頂いてるんだなと思ってます。 (2017年9月5日 19時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - ももすけぴぃさん» 嬉しいコメありがとうございます。読後感はももすけぴぃ様にしっくりハマりましたでしょうか。やっぱり最後まで読んで下さる方、私の意図を読み取って下さる読者様の存在は、日々有り難いなと思っています。余韻があるお話が書ける作家様には憧れますねえ。 (2017年9月5日 19時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 和らぎます( ;∀;)シンメへの比喩もモチーフの歌もすごくマッチしていてハマリました・・あとがきにふふって笑ったりなるほどーって思ったり♪きゅまぴサンの感性に肖らせて頂きました( *´艸`)完結おめでとうございます♪ (2017年9月3日 9時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyumapi | 作成日時:2017年8月22日 0時