24、優しくない雨が背中を押す。 side-F ページ24
あの日に帰りたいと急に思ったのは、キスマイジェットが降らせた雨で気分がアガったせいだ。
優しくない雨が、今夜の俺の背中を押したんだろうか。
K「お前もビショビショになってコーフンして、俺を追っ掛けてくる気になったんなら、キスマイジェットをやるって何度却下されても押し通した甲斐があったわ。
アッアッアッ」
いやいや、それは結果論。
キスマイジェットには、北山のアイデアと情熱がいっぱい詰まっている。
ライブの演出はあくまでもファンを楽しませる事が根本だし、その思いは北山は人一倍強いってわかってるよ。
でもやっぱり、あのジェットの水勢が、俺の背中を押してくれた。
ステージ上で豪雨に見舞われて、俺の中に燻っていたものが何だか些細に思えて、流されていった。
まるで俺達を隔てる物が叩き壊され、溶けてしまったように。
俺は今夜ふと、北山を探す気になった。
ライブ後の高揚が、その行動に取って代わっていた。
それは確実に事実。
だから……
F「俺……今夜……北山に触れても良いのかな……。」
K「何だよ急に。
何言っちゃってんの。
そのセリフ、『北山』を『あなた』か『キミ』に替えて、お前の次のソロ曲の詞に使えよ。」
こんな事言ったら、そりゃ北山も驚くだろう。
F「・・・・」
K「あ、チャカしてゴメン。
本当は……俺はもうずっとずっと前からウェルカムだったさ。
でもシンメだからこそ、当時の俺達には破れない壁があったんだろうな。」
北山が遠い目をして呟いた後、俺達はしばらく黙りこくっていた。
相変わらず車は激しい雨に晒されている。
激しいノイズに抱かれながら、この5年間のアレコレを反芻している。
きっと北山もそうだ。
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kyumapi(プロフ) - puuさん» ありがとうございますm(__)m 春の穏やかな雨と夏の豪雨、鏡を比喩に使って二人の五年間の関係を妄想してみたのですが、如何でしたでしょうか。どのお話もエンディングが全てだと思いますのでそこをお気に召して下さったら嬉しいです。続編書けそうなら頑張ってみます。 (2017年12月7日 22時) (
レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 遅ればせながら読了しました。すてきなハッピーエンドでした！2人のその時の光景が目に浮かびました。このあと五年分を取り戻した2人もぜひ見てみたいです！！ (2017年12月6日 22時) (レス) id: a8da905861 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ありがとうございます。これほどシンメのあり方に関して物議をかもすG内ペアもあまりいませんね。その分カラんだ時の沸き方は尋常じゃなく、妄想ストーリーも膨らみます。そういう意味ではやはり大きな幸せと萌えとドキドキをを藤北に頂いてるんだなと思ってます。 (2017年9月5日 19時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - ももすけぴぃさん» 嬉しいコメありがとうございます。読後感はももすけぴぃ様にしっくりハマりましたでしょうか。やっぱり最後まで読んで下さる方、私の意図を読み取って下さる読者様の存在は、日々有り難いなと思っています。余韻があるお話が書ける作家様には憧れますねえ。 (2017年9月5日 19時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 和らぎます( ;∀;)ｼﾝﾒへの比喩もﾓﾁｰﾌの歌もすごくﾏｯﾁしていてﾊﾏﾘました･･あとがきにふふって笑ったりなるほどーって思ったり♪きゅまぴｻﾝの感性に肖らせて頂きました( *´艸｀)完結おめでとうございます♪ (2017年9月3日 9時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kyumapi
| 作成日時：2017年8月22日 0時
