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21、あの日を忘れてはいない。 side-K ページ21

 
 
 
しばらく走るとまたハザードが点いて、車が路肩に寄った。



ワイパーが止まるともう何も見えない。



メーターパネルの仄かな光でも、俺にはっきり見えてるのは、目の前の藤ヶ谷だけ。



二人きりで限られた空間を共有してる。



停車して初めて、纏ってるそれぞれの空気が混じってくるのを、嗅覚で意識する。



ふわっとなって、照れ隠しに話題を雨に逸らす。



K「雨ひっでえな。

ちょっと停車して雨をやり過ごした方が良い、うん。」



オートライトからパーキングランプに切り替えると、藤ヶ谷は大きくフーッと息をついた。



前も見えない豪雨の中の夜間運転は、どんなに運転が慣れていても緊張しただろう。



息をついた理由はそれだけじゃなく、何に備えてかはわからないが、敢えて息を整えているようにも見えた。









ゴーーーッという音に車が包まれている。



停車したのは、前が見えないほどの激しい雨をやり過ごすためなんだと、俺は思っていた。



F「ここ、どこだかわかる?」



K「どこも何も、外見えねえし……」



F「傘1本で歩いたの、覚えてる?

デビューする前の春。」



K「あ……。」



忘れるワケがねえ。



傘の中で藤ヶ谷の唇が、急に俺の唇に降った、あの雨の日。



最初で最後、一度っきりのキスだった。



そしてあれから俺達は……。



藤ヶ谷自らあのキスの記憶を掘り出すとは、ビックリだよ。



触れちゃいけないって、避けてきた話題だ。

22、今更「何で?」って、訊いてみる。 side-K→←20、「タイムスリップ」と、横顔で言う。 side-K



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kyumapi(プロフ) - puuさん» ありがとうございますm(__)m 春の穏やかな雨と夏の豪雨、鏡を比喩に使って二人の五年間の関係を妄想してみたのですが、如何でしたでしょうか。どのお話もエンディングが全てだと思いますのでそこをお気に召して下さったら嬉しいです。続編書けそうなら頑張ってみます。 (2017年12月7日 22時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 遅ればせながら読了しました。すてきなハッピーエンドでした!2人のその時の光景が目に浮かびました。このあと五年分を取り戻した2人もぜひ見てみたいです!! (2017年12月6日 22時) (レス) id: a8da905861 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ありがとうございます。これほどシンメのあり方に関して物議をかもすG内ペアもあまりいませんね。その分カラんだ時の沸き方は尋常じゃなく、妄想ストーリーも膨らみます。そういう意味ではやはり大きな幸せと萌えとドキドキをを藤北に頂いてるんだなと思ってます。 (2017年9月5日 19時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - ももすけぴぃさん» 嬉しいコメありがとうございます。読後感はももすけぴぃ様にしっくりハマりましたでしょうか。やっぱり最後まで読んで下さる方、私の意図を読み取って下さる読者様の存在は、日々有り難いなと思っています。余韻があるお話が書ける作家様には憧れますねえ。 (2017年9月5日 19時) (レス) id: 28d794b9d0 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 和らぎます( ;∀;)シンメへの比喩もモチーフの歌もすごくマッチしていてハマリました・・あとがきにふふって笑ったりなるほどーって思ったり♪きゅまぴサンの感性に肖らせて頂きました( *´艸`)完結おめでとうございます♪ (2017年9月3日 9時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kyumapi | 作成日時:2017年8月22日 0時

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