SHAKE IT BITTER, SHAKE ME SWEET. 〜パラレルなカクテル〜

shake me sweet. 2015　side-K ページ47

　
　
　
K「取り敢えずビールでも飲むか？」



F「うん。」



プシュッという缶を開ける音が

2つ響いて、俺の喉が鳴った。



F「北山はマジで
ビールを美味そうに飲むよな。」



K「結局ビールに戻るんだよ。

カクテルも悪くないけどさ……

今日はビールが特別美味い！」



F「そう？」



K「特別だろ！

俺達のデュエット大成功だったじゃん！」



F「そうか、そうだね。」



認めるの、照れ臭いのかよ。



K「本当にありがとう。

俺の『アコギ企画』に付き合ってくれて。

大変だっただろ、
全然嬉しくないプレゼントに
なっちまったよな、ギター。」



F「そんな事ねえって。

こっちこそありがとうだよ。

それ直接言おうと思って
この部屋に来た。」









K「左手、見せてみろ。」



藤ヶ谷はなかなか手を差し出さなかった。



無理矢理掴んで目の前に持ってきた。



K「頑張ったんだな。

見たらわかる。」



掴んだ手首は折れそうなほど華奢で。



女みたいに小さな手に

明らかに酷使されたとわかる指先。



これも「証」だ。



努力の痕跡なんて

藤ヶ谷はアピールなんかしない。



だから、それを敢えて拾って

俺は誉めてやりたくなるんだ。



藤ヶ谷が愛しくて堪らなくなって、

そのまま手首を引っ張って抱き付いた。



抱き付くだけじゃ済まなくて

勢いのままベッドに押し倒した。



背中がベッドのスプリングでバウンドし

驚いて俺を見上げる藤ヶ谷。



Ｆ「北山……？」



何だよ、まだわかってないの？



説明するのもめんどくせぇし。



これでわかるだろ……

長い長いキスを落とした。



藤ヶ谷に触れられなかった時間を

取り戻したくて、

キスというより藤ヶ谷の唇を

自分の唇で確認するような……。



藤ヶ谷も俺の事、唇で確認しろ！



俺、最後に触れ合ってから

何も変わってないんだよ。



ずっと熱量を落とす事無く

お前が好きだった。



もうパラレルなキスじゃないって

気付いて。



今夜はカクテルなんか飲んでない。



お任せで出てくる

ちょっとビターなカクテルより

ビールはもっともっとビターだけど、

ビールに不思議な力は無い。



今夜の俺達はドーピング無しってコト。









ん……でも……



こんなに身体が甘く疼いて揺れてる。



漏れ始めた藤ヶ谷の吐息も

どんどん甘くなっていく。









もうカクテルは要らないんだ。



それってさ、

俺達が本当に修正されたって

「証」じゃねえの？

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