ジェラスなハニーにTOUCH＆GO！

20、遠い目の理由 ページ24

　
　
　
ホンの数秒だったが黙りこくった俺に、
フジガヤが振り返った。


F「キタヤマさん？」


ちょっと遠い目をしていたかも。


すぐに我にかえる。


今はチーフパーサーとして、
ここにいるんだ。


そもそも、プライベートで
コックピットに入る機会は無い。


余計な事考えんな、キタヤマチーフ！


K「あ……はい？」


F「キタヤマさんも使いたいんですか？

このリップ。

すごく調子良いですよ。

この前ホノルルで買いました。

ハワイアンブランドの、
ハワイ限定品。」


女子の買い物かよ。


F「ヨコオキャプテンの
オススメです！」


クソ、ヨコオさんまで登場か！


フジガヤの同期で親友で、勿論
キャプテン資格も持ってる人。


K「要らねぇよ、
自分のリップクリーム持ってるし。

近所の◯◯ドラッグで買ったヤツ。」


俺のはギラつかない薬用リップだがな。


F「あーそーですか。

スミマセン、余計な事申しまして。」


俺達のやり取りを聞きながら、
キムラさんがゲラゲラ笑い出した。


キ「お前ら、仲良しだな。

何があったか知んないけど、
コックピットに痴話喧嘩持ち込むなよ。

持ち込むのは、ミールだけにしとけ。」


コックピットに持ち込むも何も、
痴話喧嘩のネタは
コックピットの左席に座ってる。


キムラさん、そうアナタです。


……これも言わないけど。


アレ？
キムラさんをネタに吹っかけてんのは、
俺の方か？


K「ミールサービスは間もなく
全クラス終了です。

後方は既にライトを落としました。

病人も今のところ無しです。

△△便への乗り継ぎに関する質問を
いくつか頂きましたが、
現時点では台風の状況が何とも……

情報が来次第とお伝えしてます。」


キ「了解。」

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