ジェラスなハニーにTOUCH＆GO！

15、心の声の理由 ページ19

　
　
　
円状に連なるゴンドラは、サイズ的に
それぞれが居住空間のようで、
灯りの点いた他人の部屋を
透かし見てるような錯覚に陥入る。


でも、俺の表情まで見えるとも思えないし
このゴンドラの乗客も両隣のゴンドラの
乗客も誰一人として、俺達に
興味を持って注目してるとも思えない。


だから……夜景見ながら
チューくらいしてくれてもイイんだよ、
なんて。


最高にロマンチックなチューに
なるはずなのに。


ケチ！
ケチケチ！
ケチガヤタイスケチ！


……それは心の中の声に留めておこう。


久々にフジガヤと来れた
シンガポールの夜を、
綺麗なまま記憶に留めたい。
　
　
　
　








夕飯は食べずに、地下鉄で
エアポートホテルまで帰って来た。


出勤直前に夜食を摂るつもりでいる。


そのタイミングで摂らないと、
ミールサービスの途中で
腹が減って辛くなる。


出発時刻から逆算して、
ホテルのロビーに集合するのは
夜遅くだ。


F「アラームは22時にセットして、と。

明日に備えて
ちゃんと仮眠しとかなきゃ。

キムラさんに言われたし。」


子供じゃねぇんだから、キムラさんに
言われなくても調整しろよ。


明日明日って、日本に到着してから
遊び倒すつもりでいんのかな。


元気だな。


って事は……


フジガヤがそのつもりなら
俺もしっかり寝とかないといけない？


シャワーを浴び、荷物のパッキングも
万端にしてベッドに入る。


後は起きてから、
コンビニで買っておいたサンドイッチと
カップ麺を食うだけ。

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