「Hi ナマステ Hello、ようこそラトナラジュ東京へ！」(前編)

29、オリシャン　side-F ページ31

　
　
　
K「あ・・・・」



そう言ったきり、俺のテーブルの前でドラキュラが固まった。



ここは「いらっしゃいませ。御指名ありがとうございます。」だろーが！



K「あ、あの〜いらっしゃいませ。

今夜俺を指名した男性客って・・・」



そう言って黒塗りの目を瞬かせ、俺に人差し指を向ける。



客を指差すな。



F「・・・・」



俺も固まってる。



あのぶつかってきたドラキュラがナンバーワンだったとは。



メイク濃すぎて誰だかわかんないじゃん。



K「男に指名されたの初めてだわ。」



謝罪も感謝の意も無えのかよ。



ナンバーワンたる者、言葉かけは抜かり無くしといた方が良いと思うが？



K「さっきはぶつかって悪かったな。」



謝るって、そっちじゃねえよ。



俺を下っ端と間違えただろ？



K「ま、今夜は楽しんで帰ってよ。」



スルーしたな。



K「隣座るぞ。」



F「ああ。」



タメ口……



しかも客に対して相当上からだ。



K「男同士、末長くシクヨロっすぅ！」



チャレぇなぁ



下っ端と間違えたのは、そもそも俺がホストに紛れるつもりで仮装してたから仕方無いとして……



これがナンバーワンの接客態度って、どういう店だよ。



K「どうする？

今夜はボトルがハロウィン仕様のオリジナルシャンパン、入ってんだけど。

本数限定で。」



そう言って俺を上目遣いで見た……らしいが、ドラキュラメイクのせいで台無し。



いきなりストレートにボトルを入れるよう煽ってくるとは、俺は完全に値踏みされているようだ。



F「じゃあソレ。」



悔しいから躊躇せず、オーダーしてやった。



一体いくらなのか知らないけど。



K「オリシャーン！ナマステ〜」



「かしこまりましたっ！」

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