「Hi ナマステ Hello、ようこそラトナラジュ東京へ！」(前編)

23、無関心　side-K ページ25

　
　
　
「怪しいって言うか、ちょっとそこら辺にはいないような顔立ちとオーラでした。」



オーラは遠目でもわかってた。



顔が隠れてても、気だけは感じてた。



「それに、今時珍しく財布に札束入れてるわ、時計とアクセサリーもバカ高そうなの着けてるわ……

芸能人かと思ったんですけど、顔を出したのは一瞬でまたササッと隠しちゃったんです。

芸名使ってんのか名前にも思い当たらないし、だからやっぱり同業かなーなんて。」



K「そりゃ代表呼んじゃうね。

従業員の友達ならまだしも、そうじゃなけりゃ来店目的が気になるよな。」



「ま、結局普通の客だったみたいなんですけどね。

こういうトコ来た事なくて、来てはみたけど緊張して終わっちゃった、みたいな。

結局ろくに飲まず誰も指名せずで、時間いっぱいまでいて帰っちゃいました。」



K「変な客だな。

暴れたりされるより全然マシだけど。

飲みホで酒飲まない客は、それだけで良客じゃん。

アッアッアッ」



「あーでも、代表が妙に反応しちゃってましたねー

『是非当店で。』な〜んて、スカウトしそうな勢いでした。

ウチに入れて育てたら、あっという間にマハラジャに昇り詰めるぞ、寡黙なマハラジャで売ろうって言ってま・・・」



K「は？」



「あ！ いや、そ、そそそんなコト・・・」



K「そんなコト言ってたんだな？

代表が。

へ〜、ふーん。」



クッソー！



タカが雇われ店長の身分で、な〜にが「育てる」だよ！



結局マハラジャなんて、一番稼ぐヤツなら誰でもイイんだ。



ライバル心煽ってもっともっと稼がせようってだけ。



でも……知ってる。



そういう世界だって事。



K「ソイツ、指名しないで帰ったって言ったな？」



「はい。」



代表のスカウトまがいの言葉を、本人はどう受け取ってんのか知らないけど、もし今度来たら俺を蹴落とそうなんて夢も見られないくらい、俺に平伏すまでデロンデロンに蕩かせてやるわ。



俺っていう、マハラジャ様にな。



「ハロウィンイベントの御案内はしておきました。」



K「ふーん、あ、そう。」



悔しいから無関心を装って返事をしておいたが、ソイツが来るのか来ないのか、あれからずっと気になっている。

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