12、紅い実 ページ14
しばらく狩りが上手くいかない日が続いた。
ミツは群れが眠っている間に、一人そっと抜け出した。
向かった先は、いつかタイスケと散歩の途中で見付けた、野リンゴの木の生える場所だった。
さくらんぼ大の小さな実だが、紅く実っている。
ミツは次々と実をもいでいく。
高い所に成る実は、枝へ登って落とした。
それらを掻き集め、持参した大きな葉に包み持ち帰った。
ちょうど群れが目覚めた頃だ。
ミ「これ、食べて。」
葉包みをいくつも渡された母親は、目を丸くする。
母「ありがとう。
お前はやっぱり……人間の子ね。
まだ子供だと思ってたら、知恵が回る上に器用だわ。」
オオカミはほぼ肉食だが、雑食の一面も持っている。
獣も狩るが魚も獲るし、果実も食べる。
ミツの採ってきた果実は、群れにとって貴重な食べ物となった。
リンゴの木に登って実を落とし、葉に包んで一度に大量に持ち帰るなどという芸当は、どう頑張ってもオオカミには出来ない。
母「こんなに効率良く果物を集めて来るなんて、私達には無理ね。」
「全く違う生き物」「やっぱり人間の子」……両親がミツをそう形容する度、タイスケは少し悲しくなるのだった。
空腹なはずなのに、分け与えられたリンゴが妙に味気無く感じる。
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kyumapi(プロフ) - ソフィアさん» こんにちは(・∀・)いつもありがとうございます! ハピエンと言って頂き嬉しいです。ただいまリアルToy2_day2絶賛待機中です。昨日ユニット曲が無くてちょっとモヤってます〜 円盤化要請の声、大事ですね! エンタメ業界は貪欲に稼いでいくべき時だと思います。 (2020年10月4日 15時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - yuksaさん» 初めまして! コメありがとうございます。月に照らされる一面のピンクのお花←具体的なストーリー以前にこのラストシーンが、脳内に広がりまして。月は儚いFさんの象徴みたいなモノで、Fさん×月のお話はいくつか書いてきました。お名前の太の字は太陽由来と聞きますが。 (2020年10月4日 15時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。愛しているのに食べたいという気持ちと、愛してるが故に寿命を同じくしたいという気持ちに、書き手としてどう応えるかかなり考えました。舐めるだけで我慢した結果命を分け合えたのですが、それは最後に読者様にわかる形にしてみたつもりです。 (2020年10月4日 15時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - あらー、お星様199でしたー。うんうん、これは立派なハピエンストーリーです!そして、ライブが円盤化してもらえるようavex様に要望出しましたー! (2020年9月20日 10時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
yuksa(プロフ) - はじめまして!きゅまぴさんの作品をいつも楽しみにしてます。今回は切ないお話でしたね。2人が同時に眠りについてそのおかげで生贄を川に投げ込むことが無くなったなんてとてもいい筋書きですね。きゅまぴさんの書く藤北が大好きです、また次の作品を楽しみにしてます (2020年9月19日 19時) (レス) id: 51fb0877ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyumapi | 作成日時:2020年8月30日 21時